映画モルカー34分の衝撃 癒やしと風刺、予期せぬ展開

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土井恵里奈
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 3分で結果を出すのはラーメンウルトラマンくらいと思っていたら、令和の今は違うらしい。1話3分弱のアニメ「モルカー」(見里朝希(ともき)監督)の人気が止まらない。

 モルモットたちが車になった世界を描くこの作品。今年1月からテレビ東京系で放送され、2月には台湾へ。週32回も放送されるなど話題を呼んだ。3月からはネットフリックスで配信され、この夏ついに映画になった。第1話の動画の再生回数は935万8千回(17日時点)を超えるなど反響は大きい。

 特筆すべきは、超時短であること。映画の上映時間はわずか34分。1話2分40秒のテレビ放送12回分を一挙上映するのだから、そうなる。映画オリジナルのストーリーは一切なし。放送や配信で見た視聴者は、同じ内容をもう一度見ることになるが、それでも人気は冷めやらず。全国各地で上映期間の延長や追加上映が相次いだ。

 「PUI PUI モルカー」は、パペットアニメクリエイターの新鋭、⾒⾥朝希監督と「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」を手がけるプロダクションのシンエイ動画がタッグを組んで制作した。テレビ東京では「きんだーてれび」内で火曜午前7時30分から再放送中。

子ども向け→世代超え人気

 今、何が起きているのか。劇場へ足を運ぶと、大人の観客が多い。もともと幼児向けの番組として制作されたはずだが、家族連れだけでなく男性2人組やカップル、1人客もいる。券売機でチケットを買って、驚いた。2600円――。間違えて2人分買ってしまったのかと二度見したが、ちゃんと1人分。

 よく見ると、上映スタイルが「MX4D・3D」になっている。舌をかみそうな横文字の羅列だが、これは、アトラクションのように座席が動くタイプ。映像に合わせ、風が吹き出したり水蒸気が飛んだりもする。アクション映画などにもってこいの体感型上映だ。通常は1千円で見られる。

 ん? モルカーってアクション系だっけ……。

 フェルトでできたモフモフした質感の体は丸っこく、手足はちんまり、つぶらな瞳。どう見ても牧歌的な世界観だけど。もともと幼児向けだし。

 でも、はたと気づく。名前に「カー」があるように、モルカーはあくまで車の物語なのだ。1匹2匹ではなく1台2台と数えるし、登場する人間は飼い主ではなくドライバーという設定。なるほど、だったらMX4Dでも――と思っているうちに映画は始まった。

 そして終わった。短い。あっ…

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