「当時はこの竹槍で真剣に…」 いまも保管する理由

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中野晃
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 戦禍を繰り返さぬため、記憶をどう継承するか。出版社「新風書房」(大阪市)代表の福山琢磨さん(87)=鳥取県出身=は戦争体験の証言集「孫たちへの証言」の発行を三十余年続けてきた。戦争を知らない世代に向けて、新たな取り組みも始めている。

 大阪で夕刊紙・国際新聞社などに勤務後、出版社を立ち上げた福山さんは50歳の時、「自分史」を事業の柱にした。質問に沿って回答を記入すれば骨格ができあがる「自分史ノート」を制作、販売し、各地で「自分史教室」を開いた。

 1980年代後半で、受講生のほとんどが戦争を体験した世代だった。自分史を書いてもらうと、戦時の記憶が次々と文字になった。

 戦場、引き揚げ、空襲、勤労動員、学童疎開――。同時代を生きながらも様々な戦争体験があると感じ、記録に残したいと考えた。88(昭和63)年、受講生の作品を集めて第1集の証言集をまとめた。3年目の第3集から公募を始め、毎年夏に発行を続けてきた。

 昨春、福山さんは脳梗塞(こうそく)で倒れた。証言集づくりはその夏の第33集で区切りをつけた。三十余年にわたり、寄せられた計2万超の手記に目を通してきた。戦地の惨状を知る世代はほとんど他界し、銃後を知る世代も少なくなっている。戦争体験の継承が困難さを増していると肌で感じる。

勇ましい標語をよく耳に

 数えで米寿になった福山さんはいま、戦時中の体験を含めた自分自身の足跡の記録に取りかかっている。

 福山さんは太平洋戦争が始ま…

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