生活保護があったから バッハの音楽愛す男は天職を得た

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田島知樹
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 高野昭夫さん(60)は、ドイツ・ライプチヒ市のバッハ資料財団で働いている。バッハの音楽を心から愛する高野さんにとって、夢のような仕事だ。

 四半世紀前、日本にいた時には想像もできなかった。

 仕事はなく、うつ病を患い、闇の中にいるようだった36歳の時。主治医がこう言ってくれた。

 「生活保護を受けてください」

 死を願うことすらあった人生を、この一筋の光でつなぐことができた。だから天職に巡り合えた。

 生活保護があったから、今の自分がある。

     ◇     ◇

 富山市で生まれ、小さな飲み屋を営む家は貧しかった。住み込みの店員らと4畳半に暮らした。

 中学3年の時。音楽教諭にチケットをもらった演奏会で流れたのがバッハの曲だった。

 「荘厳でかつ美しいメロディ…

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    北郷美由紀
    (朝日新聞編集委員=SDGs)
    2021年8月21日8時56分 投稿
    【視点】

    2枚の500円玉と、「生活保護は当然の権利」という声かけ。高野さんの人生を切り開く出発点となった福祉事務所の対応は、残念ながら全国どこでも同じではありません。そして同じような対応をできない事務所には仕事の量が人手をはるかに上回る、自治体上層

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    伊藤大地
    (朝日新聞デジタル編集長)
    2021年8月20日18時16分 投稿
    【視点】

    DaiGo氏の発言が批判された時、その多くは「いつ何時、自分も保護を受けなければならない立場になるか、わからない」という批判が寄せられました。確かに、その点も否定できません。しかし、何かあってもなくても、最低限、生きる助けを得られる、という