パラ聖火リレー 134人がつなぐ

仙道洸 岡本進 丸山ひかり
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 東京パラリンピック埼玉県での聖火リレーが19日、朝霞中央公園陸上競技場(朝霞市)であった。公道走行が中止された代わりに、ランナー134人がトーチを手に400メートルトラックを走り、開催都市の東京都へと火を送り出した。

入間市の上野優一さん(52)

 電動車いすを走らせ、トーチを運んだ入間市の上野優一さん(52)は「自分をサポートしてくれた、たくさんの人に見て欲しい」とリレーに臨んだ。

 41歳のとき、事故で頸髄(けいずい)を損傷し、肩から下を自由に動かせなくなった。電動車いすで生活するようになってから、街中の5センチほどの段差が歩けていた時の1メートルほどに感じるように。電車では「邪魔くさい」と言われたこともあった。

 障害について理解を深めてもらうため、小中学校で自らの体験を語ったり、子どもに車いすを体験してもらったりする活動をしているが、あるとき、「車いす生活になるのなら死にたい」という感想が返ってきたことがあった。

 それでも、中途障害者の自分だからこそ伝えられることがあると考え、「いつ障害者になるかわからない」と語り続けている。目指すのは、「まずはお互いを知り、認め合える社会」だ。(仙道洸)

川越市に住む高校2年生の榎田咲来(さくら)さん(16)

 川越市に住む高校2年生の榎田咲来(さくら)さん(16)は、走った約2分間、太陽の光がまぶしくてほとんど目を閉じていた。体の色素を作る機能が生まれつき乏しい、肌や髪が白い「アルビノ」という難病で、弱視も伴う。光を敏感に感じるので、晴れの日に走るときは、帽子とサングラスは欠かせない。でも、この日はサングラスはしなかった。

 幼い頃、外見を陰でこそこそと言われるのが嫌でずっと内気だった。転機は中学1年のときの学校のマラソン大会。1位になった。走っている時はつらかったが、ゴールすると達成感があった。陸上にのめり込んだ。専門は800メートル走だ。

 聖火リレーには父が応募した。自身の名前「咲来」は「笑顔の花を咲かせ、人と幸せがいっぱい集まって来ますように」という願いが込められている。サングラスをしなかったのは、自分のありのままの姿を多くの人に見てもらいたいと思ったからだ。「英語を勉強し、将来は世界中の多くの人たちと関わりたい」(岡本進)

草加の多賀名雅仁さん(24)

 知的障害がある多賀名雅仁さん(24)=草加市=は手を振りながら100メートルを走り終え、「少し緊張したけど、楽しい気持ちだった。これからも頑張ろうと思った」と話した。働きながら、知的障害者の陸上の競技会や市民マラソンで走っている。

 伴走した母の里香さん(54)によると、子どものころは他人とうまく話せず暴れてしまうことも多く、中学の部活に入ることはあきらめた。でも、高校で特別支援学校に入り、部活でサッカーとバスケットボールに挑戦。陸上は数年前に始めた。里香さんは「スポーツを通じて楽しさややりがいを感じ、精神的にも成長した。今回も良い経験になった」と、雅仁さんをねぎらった。(丸山ひかり)