葉っぱムシャムシャ 首にハート模様のキリンが目の前に

竹谷俊之
【いきもの目線】アミメキリン@羽村市動物公園=2021年8月11日、竹谷俊之撮影
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 今回の「いきもの目線」は、地球上で一番背が高い動物のキリン。世界に4種類いる中の一つ、アミメキリン4頭を飼育、展示している羽村市動物公園東京都羽村市)で、今年4月に可愛い赤ちゃんが生まれた。担当飼育員の協力を得て、キリン一家の様子を360度動画で撮影した。

 アミメキリンはアフリカのケニア北部、エチオピア南部のサバンナに生息。数頭の群れで暮らしている。長い首と脚、体の模様が特徴。脚先から角の先端までの高さがオスで約5メートル、メスで約4メートルにもなる。性格は一般的におとなしく、草食でアカシアの葉が大好物だという。

 真夏の青空が広がる園内でひときわ目立つキリン。タツキ(父)、小町(母)、ゲンキ(兄)、彩羽(いろは)(妹)の4頭が暮らしている。彩羽は今年4月23日に生まれた。彩羽という名前は来園者らによる投票を経て、今月13日に発表された。「この子の未来が彩り豊かであるように」との願いと、羽村市の「羽」をとったという。

 今は彩羽の健康管理や2頭のオスに慣らすため、展示場に仕切りを置いている。オスの2頭はパッと見た限りでは見分けが付かないが、小町はわかりやすい。色白で大小の不規則な模様が多くあり、首や胸などにハートに見える模様があるという。こうした模様は彩羽にもあるらしい。

【動画】羽村市動物公園の飼育員がアミメキリンを解説=竹谷俊之撮影

 3頭の大人を360度動画で撮影するためにカメラを間仕切りの上に設置。飼育員の磯部雅和さんがカメラの下に座り、エサの枝葉を手に持って撮影した。親たちがムシャムシャ食べる様子を撮影した後、彩羽が届きやすい場所にカメラと枝葉を設置。小町は気にしないでエサを食べているが、彩羽はお尻を向けて見向きもしてくれない。バッテリーもエサも少なくなってきたため、撮影を諦めてカメラを撤収すると、彩羽が近づいてきて残りの葉をムシャムシャ食べ始めた。磯部さんは「普段と違う様子に警戒していたようです。こちらの思うようにはうまくいきませんね」。

 取材中、のんびりしていた2頭のオスが横並びになり、お互いの首を振り回し出す場面を目撃した。「ネッキング」と呼ばれるオス同士のけんかだ。群れの中で優劣を決めたり、メスを巡ってけんかをしたりする。押しくらまんじゅうのようにお尻をぶつけ合う様子も見られた。

 エサを食べ終わったキリンが、口をもぐもぐしていた。エサをのみ込むと、長い首をエサが通っていくのが見えた。ところが、のみ込んだはずのエサが再び口に戻ってきた。反芻(はんすう)という状態で、食べたものを口に戻し、唾液(だえき)と混ぜてよくかんでのみこむことを繰り返す。キリンには胃袋が四つあり、第1、第2の胃には微生物がいて食べた植物の繊維質を分解。第3の胃は水分を吸収し、第4の胃で消化する。反芻をすることで、必要な栄養素を吸収しやすくしているという。

 キリンの首はなぜ長いのだろうか?

 磯部さんによると、サバンナで高い木の葉を食べるために首が長く進化したという説や、草原で天敵から逃れるために大型化し、足もとの水が飲めないので首も長くなったという説があるという。また、キリンは血圧が高い動物として知られる。首が長く、心臓から高い位置にある頭に血液を送るため、血圧が人の約2倍(最高血圧の平均が260mmHg)あるという。(竹谷俊之)