第10回パリのPV、心が痛んだ 日本が五輪ですべきだったこと

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聞き手・小早川遥平
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 コロナ禍での五輪開催に揺れた日本社会。東京で取材する海外の特派員はどう見たのか。次の開催国、フランスのリベラシオン紙とラジオ・フランスの記者で、20年以上にわたり日本を見てきた西村カリンさんに聞いた。

 ――異例の形で開催された五輪を、どのように取材しましたか

 スポーツの取材は専門性のある記者が派遣されたので、私はメインプレスセンターや競技場、空港の感染対策について、国際オリンピック委員会(IOC)に取材しました。いつもの五輪であれば、倍くらいの人数の記者が来て、開催国の文化や社会のことも発信するのですが、彼らは外での取材が不可能でした。結果的にコロナの感染状況とスポーツばかりが報道されることになりました。

 ――「復興五輪」について開会式などで発信がなく、ほとんど報じられませんでした

 私は東北の方を取材するため、聖火リレーの際は福島県へ行きましたが、普段日本のことを取材しない記者は復興五輪のことを知らなかったでしょう。スポーツの面ではアスリートが頑張って成功した面もあると思います。ただ今回残念だったのは、それ以外の日本の良いところが報道されず、一連の不祥事など悪いところばかりが目立ってしまったことです。もっと理想的な環境になってから開催すべきでした。

 五輪は本来、世界にその国の文化を見せる良い機会です。パリはまさにそれをめざしています。パリ市長がセーヌ川で開会式をやるとか、ベルサイユ宮殿で競技をやるとか話しているのを聞くと、心が痛むんです。彼女が紹介したことはまさに東京ができなかったことだからです。

コロナ禍で世論が分断された中、東京五輪が幕を閉じました。識者は今、どう考えているのでしょうか。寄稿やインタビューでお伝えする連載です。

 ――日本はどうすべきだったでしょうか

 パンデミックの中でこんなに大きなイベントを実施するのは異常です。しかも、大会組織委員会の武藤敏郎事務総長も東京都小池百合子知事も中止を検討しなかったと認めています。少なくとも、どのような状況なら開催できるか議論し、誰でも理解できるように説明をすべきでした。

 関係者400人以上が感染して「想定内でした」と言われても、そもそもいつ想定をしていたのでしょうか。私が今、求めているのは検査データを専門家たちに提供し、科学的に分析することです。それをせずに、「東京の感染拡大に影響はなかった」と言う根拠が分かりません。まだパラリンピックがあります。問題があるなら改善をするべきです。

 ――バイデン米大統領をはじめ、世界からは「五輪は成功」という声も聞こえてきます

 日本政府が感染状況を全く気…

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