「いいことノート」で一変 本音言い合える西日本短大付

吉田啓
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 福岡代表として甲子園に出場している西日本短大付の野球部員たちが、お互いの良さや感謝の言葉をつづるノートがある。部員たちは「いいことノート」と呼ぶ。どこか遠慮し合っていた部員たちの絆を深めた。

 部員71人は、ほとんどが学校敷地内の寮で暮らす。互いのことをよく知るはずなのに、練習や試合でミスをしても注意や奮起を促す言葉は遠慮がち。西村慎太郎監督(49)は「踏み込んだ人間関係を築けていないのでは」と感じていた。

 部員同士が互いにもっと興味を持ち、関係を深めてほしいと考え、福岡大会を控えた6月中旬、「ほかの部員の良いことだけを書くノートをつけてみないか」と提案した。

 1冊200ページのノートを受け取った主将の池田翔君(3年)はノートを寮の自室に置き、3年生の全部員22人とベンチ入りした1、2年生がいつでも自由に書き込めるようにした。

 最初のころは「練習後に室内のゴミを拾ってくれてありがとう」「バッピ(打撃投手)してくれてありがとう」といった1、2行の短い書き込みばかり。書く人も限られていた。

 だが、日を重ねるに連れて互いをよく観察するようになった。寮のトイレでスリッパを全部並べてくれたこと。室内練習場の窓が閉まっているのに気付くと、換気のためにさっと開けてくれたこと。細かいことに気付くようになり、徐々に文字数も増えていった。

 練習や食事、洗濯の合間のわずかな時間を縫って、みんなが争うように書き込むようになった。福岡大会の初戦を翌日に控えた7月9日には、3年生全員が1ページずつ書いた。「最高の仲間で最高の夏にしよう」「全国制覇 西短魂」「ベンチ(入りから)外れたけど心の底から応援している」「もう肩の痛みは忘れたので(打撃投手で)何球だって投げられます」。メンバーを外れた選手を含め、それぞれの思いを書き込んだ。

 「ノートに良いことを書く分、練習では厳しいことを言い合えるようになっていった」と池田君。福岡大会優勝後のページには喜びがあふれた。「甲子園でも頼むぞ」

 1992年以来の全国制覇を目指し、甲子園に臨んだ同校。「甲子園でも勝ち進んで、(ノートの)2冊目もぎっしりと埋めたい」(吉田啓)