満塁から連続三振 二松学舎大付の秋山、全球真っ向勝負

小俣勇貴
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(20日、高校野球選手権大会 二松学舎大付2-0西日本短大付)

 0―0で迎えた六回、1死満塁の場面。二松学舎大付の左腕秋山正雲は、直球だけを投げ込んでいった。

 五回まで緩急を使いながら無安打投球を続けていた。それが整備直後の六回に一転。間が空くことで流れが変わりやすいタイミングで、先頭打者に安打を許した。次打者のバントは小フライに。捕手の鎌田直樹がワンバウンドにして併殺を狙ったが、捕り損ねた。無死一、二塁。さらに犠打と四球でピンチは拡大。ここで、市原勝人監督は伝令を走らせた。

 「0に抑えようと思わず、窮屈にならないように」

 この言葉で、秋山は開き直れた。「自信のある、まっすぐで。鎌田もわかってくれた」。小細工をせず、ゆったりと右足をあげて力強く投げ込む。低めへ、コースいっぱいに。常時140キロ弱だった直球が、140キロを超えた。かわす球は1球もない。ぐいぐい押す。2者連続空振り三振。雄たけびをあげて、ベンチへ駆け戻った。

 渾身(こんしん)の9球。直後、味方が2得点した。

 打者の誰もが最も打ち込んできたはずの直球。なぜ、その球種だけで抑えられたのか。「スピード表示よりもベース板の上での速さ、強さを感じる」と市原監督。何より、「ピンチで力を発揮できるのが、秋山の真骨頂」。

 球威、制球、そして度胸。持ち味すべてがかみあった。

 強気だけが武器ではない。甲子園初登板。第1試合の途中で降り出した雨でマウンドはぬかるんでいた。右足をしっかり踏み出せる場所を求め、一回にプレートの一塁側に置いた軸足を三塁側へ移動させながら探った。三回に「見つけた」。冷静さも持ち合わせる左腕は、九回も直球だけで三者凡退に。信じた直球が引き寄せた、被安打4の完封劇だった。小俣勇貴