通信工事会社が1億円所得隠し 課税めぐり下請けが提訴

村上潤治
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 下請け業者に支払う工事費を水増ししたなどとして、通信工事会社「セントラルメディアサービス」(名古屋市西区)が名古屋国税局から約1億円の所得隠しを指摘されたことがわかった。セ社に対して下請け業者が約1億円の賠償金を支払う和解がいったん成立したが、その後、名古屋地裁で裁判になっている。

 関係者によると、セ社の元部長が架空の工事費や水増しした工事費を下請け業者に支払い、キックバックさせるなどしていた。名古屋国税局は、仮装・隠蔽(いんぺい)があったなどとして2019年6月期までの数年間で約1億円の所得隠しをセ社に指摘。追徴税額は重加算税を含め約4千万円で、すでに納付したという。

 その後、下請け業者がセ社に、架空や水増しの工事費と追徴税額分の損害賠償金計約1億円を支払う内容の和解が成立したが、下請け業者は今年5月になって「追徴課税などを下請けに転嫁するのは公序良俗に反する」と和解の無効を求めて名古屋地裁に提訴した。

 裁判に提出された資料によると、不正発覚後の昨年11月ごろ退社した元部長は「私腹を肥やすため会社に莫大(ばくだい)な損害を与え申し訳ない」と陳述し、セ社の社長は陳述書で「税務調査で架空取引が判明したが、私は全く知らなかった」と説明していた。今回の提訴で下請け業者は「キックバックは少なくとも途中までセ社の社長も承知していた」と主張。セ社は7月にあった第1回口頭弁論で訴えの却下を求めた。

 セ社の代理人は取材に「民事裁判中なのでコメントは控える」と答えた。信用調査会社などによると、セ社は1995年設立で、従業員約60人。20年6月期の売り上げは11億5千万円。(村上潤治)