レモンの香りをかぐと、映像の動きが遅く見え、バニラの香りをかぐと、速く見える――。こんな発見を、情報通信研究機構(NICT)のチームが発表した。研究成果は仮想現実(VR)やエンターテインメントなどへの応用も考えられるという。
チームは、嗅覚(きゅうかく)と視覚の関係に注目した。映画を見る時は聴覚と視覚、食事は嗅覚と味覚など、脳の中に異なる感覚の情報が同時に入って、互いに影響を与えることがあるからだ。
実験では、被験者14人がレモン、バニラの香りを1秒かいだ後と、無臭の場合を比べた。被験者は800個の点が動く映像を見て、その動きが速いと感じるか、遅いと感じるか、主観的に判断した。
画像が動く速度は7段階あり、判断がむずかしくなる速さを調べて、嗅覚が視覚に与える影響を解析した。1人当たり500回以上実験を繰り返して解析すると、レモンの香りをかいだ後は動きが遅く感じられ、バニラの香りでは速いと感じることがわかった。
実験中の脳の活動も、機能的…