「生理の貧困」支援の輪 学校トイレへの設置や無償配布

吉備彩日、土肥修一
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 経済的な理由で生理用品が買えない「生理の貧困」が社会問題となるなか、県内の自治体や団体で支援の動きが広がっている。学校のトイレへの設置や無償配布などを通じ、さまざまな事情で生理用品に手が届きにくい女性を支えようと、各地で取り組みが始まっている。

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 青森県野辺地町の野辺地中学校では7月、校内の女子トイレの個室に、生理用品が設置された。かわいらしい布や型紙で作られたポケットに、一つずつナプキンが入れられている。ポケットには「訳あって生理用品が手元にないあなたへ 困ったときは、この生理用品を使ってください。返却は不要です」と書かれている。

 メッセージを書いたのは養護教諭の田中直美さん(40)。洗面台ではなく、個室に一つずつナプキンを置いた。「メッセージを通して、個室で生徒と会話ができると思った」。メッセージを目にして、気兼ねなく保健室に体のことなどを相談しに来てほしいと、最後に付け加えた。「もし、相談したいことがあれば、いつでも保健室にきてください。待っています」

 生理の貧困は、大学生らの団体が今年3月、学生の5人に1人が「金銭的理由で生理用品の入手に苦労したことがある」との調査結果を発表し、注目された。各地で支援が広がり、内閣府の調査では、7月時点で全国581の自治体が学校などで生理用品の配布を実施、または検討している。

 野辺地町も5月から中央公民館や図書館、体育館などのトイレに設置し始め、小中学校4校にも設置することにした。田中さんは「貧困だけでなく、父子家庭で父親に言いにくかったり、親に心配をかけたくなかったりして家で相談しにくい子どもの支えにもなる」と話す。

 また、生理が始まって間もない生徒は、教室移動や体育の授業前後での着替えで時間が満足にとれず、服を汚してしまうこともあるという。トイレに直接行くだけでナプキンが手に入れば、こうしたケースも防ぎやすい。ナプキンは田中さんが補充しているが、いずれは掃除をする子どもたちに任せられるくらい「当たり前」のことになればと考えている。「悩みが多様化している今、生理用品一つからでも、子どもたちとつながれたら」

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 「生理の貧困」を支援する動きは県内各地でも広がっている。

 五所川原市は2学期以降、市内の小中学校のトイレに生理用品を置く方向で調整を進めている。平川市も8月下旬から同様の取り組みを始める。三沢市は6月から生活福祉課の窓口や市総合社会福祉センターのトイレに生理用品の引き換えカードを設置。カードを同課の窓口で渡せば生理用品を無償で受け取れる。

 県社会福祉協議会では、5月から生理用品の配布を開始。子育て世帯の孤立化を防ぐため、食品や日用品を無料で提供する活動の一環で実施し、すでに五所川原、八戸、三沢の3市でそれぞれ各300個以上のナプキンを配った。7月中旬には、青森市内でも約100個配布した。

 県社協社会貢献活動推進室長の葛西裕美さんは「将来困ったことがあった時に、相談できる機関があると知ってもらうきっかけになれば」と話す。

 弘前大学では6月中旬、性暴力やハラスメントに関する啓発活動を行う学生団体「あずましキャンパス」が、弘前市から使用期限が切れた備蓄品の提供を受けて、キャンパス内で学生向けに生理用品約300パックを配布した。代表の久下早紀さん(医学部4年生)は「女性は生理用品だけでなく、体調不良などのマイナートラブルで鎮痛剤やピルの費用がかかる。みんな困ってる、お金がかかっているんだよと知ってほしい」と話した。

 青森市男女共同参画プラザ「カダール」や市働く女性の家「アコール」では、窓口で専用のチラシやSNS画面などを見せると、生理用品が受け取れる。詳しくはカダール(017・776・8800)へ。(吉備彩日、土肥修一)