揺らぐ世界秩序 アフガン政権崩壊(4)
イスラム主義勢力タリバンは、アフガニスタンから米軍などの外国部隊を撤退させるため、自爆攻撃を多用した。攻撃を恐れる装甲車はいつも猛スピードで首都カブールの通りを走り抜けた。ハッチから上半身を出した兵士は、機関銃を水平からやや下に向け、せわしく左右に振った。その先には通行人がいる。銃口がこちらに向いた時は、背筋が凍る思いだった。
アフガニスタンの政権崩壊とイスラム主義勢力タリバンの台頭は、今後の世界のあり方をどう変えていくのか。米国、中国、ロシア、中東、欧州、アジア。それぞれの地域の特派員が読み解く。
私は2005年9月から約2年半、アフガニスタンを担当したが、治安の悪化はこのころから始まった。外国部隊や警察の車両などが相次いで自爆犯に狙われた。当時、電話取材に応じたタリバンの中堅司令官は「占領軍を追い出す有力な手段だ」と豪語した。
そのタリバンが20年ぶりに復権した。何よりも懸念されるのは、アフガニスタンが再びイスラム過激派の「温床」になることだ。
「タリバンの同胞と国民の勝利を祝福する」。内戦中のシリアでアサド政権軍と戦う過激派組織「シャーム解放委員会」は18日、こんなメッセージを発した。
「タリバンの勝利で各地の過激派は勢いづく。米軍を追い出した『英雄』とみなし、仲間に加わろうとする者も多いだろう」。過激派の動向を追っている専門家の予想は、何ともまがまがしい。
「イスラム国」の記憶
前例がある。過激派組織「イ…
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