つらい練習…でも努力を形にしたかった 高津臣吾さん

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 これまで多くのゲストに甲子園球場にお招きし、熱戦をご覧いただきました。今夏の球児らへのメッセージとともに、「観戦記」の一部を再びお届けいたします(メッセージがない場合もあります)

高津臣吾さん(ヤクルト監督)

 甲子園出場おめでとうございます。厳しい地方大会を勝ち抜き、代表として精いっぱい、頑張ってください。

 先日の東京オリンピックのように、日本の野球はすごいんだと思わせるようなプレーを期待しています。

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(2012年8月16日 第94回大会 作新学院19-3立正大淞南 桐光学園7―5常総学院ほか観戦)

 実は僕、朝日新聞の「はま風」に登場したことがあるんですよ。68回大会で、もう、26年前。3回戦で負けてしまい、甲子園の裏の通路で号泣した。何も話せなかったな。

 取り上げてもらって反響があったのを覚えている。観戦記のゲストで、あのコーナーに出た人は珍しいでしょ? 大きな記事で扱われた方は多いでしょうけれど「はま風」にはなかなか載れない。記事は今でも実家にあると思う。

 甲子園に来るのは5年ぶりかな。高校野球を観戦に来るのは高校以来。うわ! 外壁がきれいになってる。中もすごく整備されたね。これで、母校が勝ち上がっていれば……。残念ながら初戦敗退。テレビで見てました。いい試合をしてくれたと思います。

 甲子園では、いい思い出がない。3年の春夏と背番号をもらったんだけれど、2番手投手で1度もマウンドには立てなかった。記念すべき聖地での第1打席は死球。甲子園練習では投げたかな。こっそり、砂を集めて持ち帰った。

 何でだろう? 立正大淞南(島根)の七回の3連打を見て、涙が出そう。11点差を追う展開。ファウルゾーンでキャッチボールをする選手にも、グッとくる。何とかしてやろうって顔。3年もやってきて、負けは一瞬。できれば、勝たせてあげたい。

 僕も朝7時から練習して、授業を受けて、終わってからまた、練習して帰宅は午後10時ぐらい。1年生の時は、テニスコートのようなサブグラウンドでの練習。最後の終わり10分ほどキャッチボールをするぐらいで、あとはずっと体力強化のために走ってた。

 野球部のメーン球場で練習が出来るようになる前に、同級生が何人もやめた。練習中に水を飲むな、という時代でしたから。毎日、メッチャしんどかったですが『もうやめよう』とは思わなかった。何とかこの努力を形にしたいと思った。野球が好きだからでしょうね。

 こりゃ、打てないわ。桐光学園(神奈川)の松井君は、体に強さを感じる。大きくはないけれど、下半身がしっかりしている。球をリリースするとき、体全体の力が捕手方向に伝わっている。3アウトを奪うと、ベンチまで全力疾走。こういう姿勢が、高校野球らしさですよね。

 松井君はまだ、2年生。けがをせず、さらに上を目指して欲しいですね。=抜粋

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 たかつ・しんご プロ野球ヤクルト監督。1968年、広島県生まれ。52歳。広島工高、亜大を経て、ヤクルトや大リーグのホワイトソックスなどで抑えとして活躍。日米通算300セーブを達成し、韓国、台湾でもプレーした。独立リーグの新潟では選手兼監督となり、2012年に引退。昨年からヤクルト監督で、今季は20日時点でセ・リーグ3位。