骨折で島根大会出場なし 仲間に恩返しの勝ち越しHR

高橋健人
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(21日、高校野球選手権大会 石見智翠館4-3弘前学院聖愛)

 2―2で迎えた八回。石見智翠館の末光章朗監督は、4番・上(かみ)翔曳(しょうえい)に無死一塁からバントをさせた。三回に2点二塁打を放っているにもかかわらず、だ。

 そう選択したのは、二塁に走者を進めて少しでもチャンスを広げるため。それとともに、5番に宮本赳希(たけき)が控えていることも大きかった。

 託された宮本は、期待に応える。ひざ元にきた変化球に、体勢を崩されながらも反応した。打球はぐんぐんと伸びて左翼席へ。勝ち越し本塁打となった。

 宮本にとって、甲子園出場は3年越しの悲願だ。1年生でもレギュラーだったが、島根大会で負傷し、チームは甲子園に出たが、自身は出られなかった。

 3年生となった今年も6月下旬の練習試合で死球を受けて左手を骨折。今夏の島根大会はベンチに入ったものの、1試合も出場できず、応援にまわった。

 島根大会の決勝前だった。ミーティングで谷本暁彦部長が「宮本をもう一度打席に立たせてあげよう」と語りかけた。そのためには甲子園に行くしかない。奮起したチームは投打で圧倒し、先発した山崎琢磨は大会史上初めて決勝でのノーヒットノーランを達成。打線も8得点し、甲子園の切符をつかんだ。

 島根大会後、宮本は練習に復帰した。天候不良によって弘前学院聖愛との初戦が大幅に遅れ、調子を崩す選手が少なくない中、逆に「ラッキーだった」。打撃の感覚を取り戻す時間を十分に取ることができた。

 左手にテーピングを巻きながら挑んだ今夏初の公式戦。「みんなが連れてきてくれた甲子園で恩を返したかった」と殊勲の本塁打。高校通算26本塁打と長打力が売りの主軸が大舞台でようやく輝いた。(高橋健人)