「職域接種については金曜日の午後5時をもって、申請を一時休止させていただく」。6月23日夜に急きょセットされた記者会見で、新型コロナウイルスのワクチン接種の調整を担う河野太郎行政改革相がそう表明した。企業などでの職域接種は、21日から本格的にスタートしたばかり。それを25日夕方から受け付けを停止するというのだ。
会見の4日前、オンラインで開かれた全国知事会の会議では、政府の供給計画への不満があふれた。自治体で使う米ファイザー製のワクチン供給量が、6月のピーク時に比べて7月以降は4割近く減らされることになっていたからだ。さらに、米モデルナ製を使う職域接種が自治体とは別のルートで始まり、現場は混乱していた。
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緊急事態宣言がまた拡大・延長されます。新型コロナの感染拡大を抑え、国民の信を問うという菅義偉首相の戦略は崩れつつあります。A-stories「漂流 菅政権 コロナの時代」では、政権発足以来のコロナ対応を検証します。
「異例なほど是正を求める声が相次いだ。この考え方は政府に伝える必要がある」。会議後、鳥取県の平井伸治知事は記者団に危機感をあらわにした。
自治体向けのファイザー製の供給が7月から減ることは、元々決まっていた。政府はそれまでに、モデルナ製を使った職域接種を広げてファイザー製の減少分を穴埋めすれば、全体の接種スピードは維持できるとみていた。
ところが、そこに二つの「誤算」が生じた。
一つ目は、政府の想定以上に…
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