ベンチメンバー全員が青森出身 聖愛の試み、じわり成果

奈良美里
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(21日、高校野球選手権大会 弘前学院聖愛3-4石見智翠館)

 ベンチ入りメンバー全員が青森県出身で、原田一範監督が「100%リンゴジュース」と名付けた弘前学院聖愛。野球離れが進む中、選手たちは子どもに野球を教える活動を続けてきた。ボールに初めて触れたちびっ子が「野球をやりたい!」と母親にねだったり、指導を受けた少年野球チームが県大会で優勝したり。「未来の球児」を育てる試みは実を結びつつある。石見智翠館(島根)に敗れたが、教え子たちにあきらめない野球を見せた。

 保育園の一室に、子どもたちの笑い声があふれていた。女の子がおもちゃのバットをふり、転がったスポンジボールを男の子がつかんだ。「アウトーッ」。審判役の部員が腕を突き上げると、守備チームは大喜びで跳びはねた。

 雪が降り積もり、グラウンドでの練習がままならない冬季。部員たちが週末に行っている出張教室だ。ビニールハウスを使った少年野球教室も開いている。野球人口が減りつつある中、原田一範監督が野球の楽しさを伝えたいと始めた。

 教える内容やタイムスケジュールは部員たちが決める。どうやったら楽しんでくれるか。自分の小学校の校歌を歌ってもらったらうれしいのではと、練習して披露したこともある。「見ている親御さんが小学生の顔を見やすいように誘導したりもする」と長利斗真(おさりとうま)選手(3年)。相手のことを考えることが野球にもいい影響を与えてきたという。

 今大会、1年生でただ一人ベンチ入りした宇野琥太朗選手も少年野球教室の第1期生だ。さらに、子供たちを教えることを通じ、教員を目指す部員たちも増えるなど人材育成にもつながっている。

 21日の試合。チームは9回に1点差まで迫る粘りを見せた。「子どもたちに、最後まであきらめない姿を見せられたと思う。またふるさとの人たちと触れ合って、勇気や希望を与えたい」。佐藤海主将は試合後、そう語った。(奈良美里)