「野球エリート」じゃない浦学主将 仲間も認める存在に

黒田早織
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(21日、高校野球選手権大会 浦和学院3-4日大山形)

 「まだ終わらせたくない」。1点を追う九回表2死満塁の場面で打席に立ったのは、チームの要・吉田瑞樹主将(3年)だった。球場中が固唾(かたず)をのんで見守る中、4番打者は遊ゴロに倒れた。浦和学院甲子園は、1試合で終わった。

 止める間もなく涙があふれた。頭の中には様々な思いが駆け巡った。

 今夏で退任する森士監督。支えてくれた、たくさんのコーチ陣や保護者。冬には新型コロナクラスターも発生した。自分たちだけでは、この舞台に立てなかった。そう痛感しているからこそ、勝利で恩返しがしたかった。「申し訳なさと悔しさでいっぱいです」

 「元々、こんな強い学校に来るつもりじゃなかった」という吉田主将。中学生の時から硬式のクラブチームでプレーする「野球エリート」とは異なり、東松山市立南中学校の部活で軟式野球をしていた。

 だが、声をかけられ初めて浦学の練習を見に行った時、気持ちが変わった。「甲子園、ここなら本当に行けるかも」。初めてそう思った。3年後、本当に甲子園に来た。この日は先制の適時三塁打を含む、3安打1打点と躍動した。

 前主将としてともにチームを支えてきた吉田匠吾選手(3年)は「チームのことを常に考えてくれていた。最後に瑞樹で終わったら、何も文句はない」。試合終了後、腕で顔を覆って泣く主将に、森監督はこう声をかけた。「負けても、堂々と前を向け」(黒田早織)