「ホンマもんの速球」崩した明徳の徹底ぶり 高嶋仁の目

前・智弁和歌山監督
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(22日、高校野球選手権大会 明徳義塾8-2明桜)

 明桜の風間球打(きゅうた)君、ええ投手ですね。久しぶりに、ホンマもんの150キロを見た気がします。

 ずいぶん前になりますが、星稜(石川)の小松辰雄投手(元中日)を思い出しました。真っすぐがドーンッという感じで来るんです。

 ぼくは智弁学園(奈良)の監督だった第59回大会(1977年)の1回戦で対戦しました。一、二回に運良く1点ずつとって2―1で勝ちましたが、とても打てるようなボールやなかった。うちにも山口哲治(元近鉄)という好投手がいたので、何とか接戦に持ち込むことができたんです。

 風間君の高めに決まるストレートも、相当な威力があります。あれは、打てません。明徳義塾は序盤こそ手を出していましたが、すぐに振らなくなりました。馬淵史郎監督が指示を徹底したのでしょう。ベルト付近に来たボールだけを絞って打つ。目線を下げ、ボールになる変化球もしぶとく見極めました。

 決して待球策ではなく、的を小さく絞ることで、風間君を徐々に追い込んでいきました。好球必打。厳しいボールはファウルする。四回までに風間君に94球を投げさせ、投球数が100球に達した五回に勝ち越し点をあげました。打順も3巡目に入り、豪速球に目も慣れてくる頃です。狙い通りの展開だったんやないでしょうか。

 もちろん、失点をきっちり抑えたからこその勝利です。二回はミスもあって1点を失いましたが、その後は明徳らしい堅守が随所に見られました。1回戦に続いてピンチで代木大和君から吉村優聖歩(ゆうせふ)君にスイッチし、無死満塁をしのいだのも見事でした。

 それにしても、風間君はもう少し見ていたい投手でした。U18(18歳以下)ワールドカップが新型コロナウイルスの影響で今年中止されていなければ、と残念な気持ちになります。馬淵監督率いる日本代表に、間違いなく選ばれていたでしょうから。(前・智弁和歌山監督)