能楽師の野村幻雪さん死去 兄の萬・万作さんも人間国宝

 観世流シテ方の能楽師人間国宝の野村幻雪(のむら・げんせつ、本名野村四郎〈のむら・しろう〉)さんが21日、多発血管炎性肉芽腫症で死去した。84歳だった。葬儀は近親者で営む。後日お別れの会を開く予定。喪主は長男で観世流シテ方の昌司さん。

 和泉流狂言方の名人、六世野村万蔵の四男として生まれ、3歳で狂言の初舞台を踏む。次第に能へとひかれ、1952年に観世元正(後の左近)に入門。のちに観世寿夫にも師事し、62年に独立してからは、観世流のシテ方として活躍の場を広げた。

 「道成寺(どうじょうじ)」「石橋(しゃっきょう)」といった古典の曲を閑雅に舞うとともに、夏目漱石「水底の感」や高浜虚子「実朝」、シェークスピアの作品を題材とした新作上演にも携わった。バロックオペラと能を融和させた作品の演出に挑むなど、能を通じた表現の開拓に力を注いだ。

 狂言で認定された兄の萬、万作とともに、四郎は2016年に人間国宝に。3兄弟で人間国宝に認定された初の例となった。今年4月には、観世宗家から功績を認められ、幻雪を名乗った。