絶対王者井山、迎えるのは最強挑戦者 囲碁名人戦

大出公二
【動画】名人井山裕太、最強挑戦者一力遼を語る=尾崎希海撮影
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 絶対王者か、最強の挑戦者か。26日開幕の第46期囲碁名人戦七番勝負(主催・朝日新聞社、協賛・株式会社 明治、マニフレックス)は、長年にわたり囲碁界の頂点に立つ井山裕太名人に、急伸を遂げた「ポスト井山」の筆頭、一力遼二冠が挑む。天下のゆくえを左右する大勝負が始まる。(大出公二)

井山裕太名人「相手が誰であろうと、自分次第」

 もともと挑戦者争いの本命は一力さんと思っていました。早い段階から非常に総合力の高い棋士でしたが、昨年初めて七大タイトルを取って、結果が出たことに対する自信をすごく感じます。

 一力さんとは何度も番勝負を重ねてきましたが、昨年の天元戦で初めてタイトルを奪われました。いまも碁聖戦で2勝2敗のタイと、たいへんな戦いになっています。以前よりもさらに総合力を上げてきているように思います。どこかが突出しているというより、五角形のグラフで示すと、すべてが秀でている。

 自分自身の調子は可もなく不可もなくというところですかね。先の本因坊戦で芝野虎丸さんに1勝3敗と追い込まれてから、逆転で防衛できたのが大きかった。どういう星の流れになっても、自分さえしっかりしていれば勝てるということを再確認できた。相手が誰というより、自分次第かなと思っています。

 一局に2日かけて打つ七番勝負は、1日制よりも心と体の負担が非常に大きい。一力さんとの七番勝負は3年前の棋聖戦以来、久々なので、やってみなきゃわからないところがある。対戦相手の研究に余念がなく、対戦相手に応じて序盤の戦略を決めている印象がある。自分がそれにどう対応していくかが一つのテーマになると思います。

 最近は一力さん、芝野さんなど20代前半の若手との番勝負が多くなりました。彼らの台頭は時間の問題と思っていたので、驚きはありません。AI(人工知能)の登場で情報量が飛躍的に増え、若い人が結果を出しやすい環境もあるでしょう。

 ただ、自分もまだ32歳です。年寄り扱いはちょっとつらい。彼らとの戦いは、これからも勝ったり負けたりを繰り返しながら続くでしょう。純粋に強い相手との戦いのなかで、自分を高めていきたい。

     ◇

 いやま・ゆうた 1989年5月24日生まれ。大阪府東大阪市出身。2002年プロ入り。05年、阿含・桐山杯で史上最年少16歳の一般棋戦優勝者に。09年、20歳で名人獲得後、「平成四天王」とタイトル争奪戦を繰り広げ、16年と17年、2度にわたり前人未到の七冠独占。現在名人、棋聖、本因坊の「大三冠」。日本棋院関西総本部所属。

井山vs一力の七大タイトル戦

2016年 天元戦 井山(防衛)○●○○ 一力

2017年 王座戦 井山(防衛)○○○  一力

2017年 天元戦 井山(防衛)○○○  一力

2018年 棋聖戦 井山(防衛)○○○○ 一力

2018年 王座戦 井山(防衛)●○○●○一力

2020年 天元戦 一力(奪取)○●●○○井山

2021年※碁聖戦 一力    ●○○● 井山

2021年※名人戦 井山         一力

※碁聖戦最終第5局は29日

対局日程

第1局 8月26、27日 東京都文京区「ホテル椿山荘東京」

第2局 9月8、9日 福島県郡山市「四季彩一力」

第3局 9月15、16日 愛知県田原市「角上楼」

第4局 9月28、29日 神奈川県箱根町「強羅環翠楼」

第5局 10月12、13日 山梨県甲府市「常磐ホテル」

第6局 10月19、20日 静岡県熱海市「あたみ石亭」

第7局 11月4、5日 静岡県河津町「今井荘」

※対局は持ち時間各8時間の2日制。一方が4勝した時点で決着し、それ以降の対局はない。

     ◇

 対局の模様は朝日新聞デジタルおよびユーチューブ「囲碁将棋TV―朝日新聞社―」で中継します。現地に詰めるトップ棋士の動画解説を軸に、立会人、記録係ほかゲスト棋士も随時出演して、最高峰の対局の魅力を多角的にお伝えします。対局2日目からは囲碁将棋TVのみの独自コンテンツを配信。朝日新聞デジタルとの二元中継でお送りします。

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