モノマネで変化球をコピー 明桜左腕の風間にはない武器

高岡佐也子
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(22日、高校野球選手権大会 明徳義塾8-2明桜)

 明桜の栗城(くりき)蓮は、モノマネが得意な左腕だ。ブルペンで並ぶチームメートの投げ方は、簡単に「コピー」できる。風間球打(きゅうた)なら腕の角度がポイント。真上まで腕を上げて、一気に振り下ろす。神奈川出身だけど、英語の先生の秋田なまりもしっかり再現できる。

 まさかこの特技が、野球に役立つことになるなんて。

 中学時代も投手。「親元を離れて心身ともに成長したい」と秋田へやってきた。「背番号『1』をつけて甲子園に。そしてプロへ」。そんな思いは、入学前に打ち砕かれそうになった。中学3年の夏休み。風間の投球を見る機会があった。明桜へ進学希望だと聞いた。「こんなすげえやつと競うのか」

 入学時の直球は120キロ台前半。軟式だった中学までは通用したが、風間とは勝負にならない。「違う特徴を探さないと」と、変化球を身につけることにした。

 野球部はスマホが禁止なのでユーチューブなどからは情報を得られない。生きたのがモノマネの才能だ。握り、投げ方、リリースの時のコツ……先輩たちに教わりながらコピーしていった。2種類のスライダーにカーブ、チェンジアップ、カットボール、シュート。計六つの球種を習得した。タテに大きく曲がるスライダーは、誰にも負けない武器だ。

 八回、出番が来た。九回途中まで投げ、味方の失策もあって3点を失った。渾身(こんしん)の一球は八回2死から見逃し三振を奪ったカットボール。右打者の内角、最高のコースに決まった。その一球に、自分らしさを探った2年半が詰まっていた。高岡佐也子