イスラム主義勢力タリバンが政権を崩壊させ、権力を掌握したアフガニスタンで、タリバンの実質ナンバー2で政治部門トップのバラダル幹部が21日、首都カブールに入った。複数の地元メディアが報じた。バラダル幹部は今後、国内の有力者らと会談し、新政権の枠組みを協議する見通し。
バラダル幹部は、これまでタリバンが外交窓口を置く中東カタールに常駐し、米国などとの交渉にあたってきた。1990年代のタリバン創設メンバーの一人で、初代最高指導者のオマル幹部の信任が厚かったとされる重鎮だ。政権崩壊から2日後の17日にはカタールを離れ、タリバンの本拠であるアフガニスタン南部カンダハルに移っていた。
ロイター通信は21日、タリバン関係者の話として、今後数週間内に新政権の枠組みが決まるとの見通しを伝えた。
バラダル幹部の到着に先立ち、首都では既に配下のタリバン幹部らが、対立してきた国内各派との接触を開始している。21日にはタリバン幹部らが、国家和解高等評議会議長を務めていたアブドラ氏やカルザイ元大統領らと会談。アブドラ氏は21日、タリバンが権力を独占しない「包括的な政治」のあり方を話し合った、とツイートした。
タリバンとしては、国内の有力者に権力の一部を分ける姿勢をアピールすることで、諸外国から政府承認を取り付ける狙いがあるとみられる。(バンコク=乗京真知)