ひじの手術を乗り越え 沖縄大会無失点の沖縄尚学エース

遠山武
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 第103回全国高校野球選手権大会の22日の2回戦で盛岡大付(岩手)に0―4で敗れた沖縄尚学。當山(とうやま)渚君(3年)は利き腕の手術を経て取り戻したエースナンバーを背に、最後まで強気の投球を見せた。

 當山君が背番号1を託されたのは、昨秋の沖縄県大会。初戦の前日、練習をしていて左ひじに痛みが走った。「ひじが引っかかる感じがして、ゆっくり伸ばそうとしても伸びなかった」

 関節内で軟骨のかけらが動く、「関節ねずみ」と呼ばれる症状。ひじに負担のかかる投手がなりやすく、プロ野球ソフトバンクの和田毅選手らも発症した。

 當山君は軟式野球をしていた中2のころ、ひじに炎症を起こしたことがあったが、その後は落ち着いていた。比嘉公也監督に「今の医療では完治するから」と勧められ、内視鏡で遊離軟骨を除去する手術を受けた。

 「情けない。チームに申し訳ない」。リハビリが始まり、心が揺れた。「絶対にはい上がってみせる」と決意し、走り込みと下半身中心の筋トレに徹底して取り組んだ。3カ月ほど経って再びボールを握った。

 下半身が安定したことで「ばらついていた制球がよくなった」(捕手の前盛魁来君)。今春の県大会は背番号こそ12だったが、4試合を投げて2試合で完投し、準優勝に貢献。エースに復帰した夏の沖縄大会は4試合を投げ、21回3分の1を無失点。甲子園出場をたぐり寄せた。

 甲子園初戦の阿南光(徳島)戦は被安打2、四死球を与えず、相手に二塁を踏ませない好投で完封勝利。だが、盛岡大付戦では強力打線に2本塁打を許すなど八回途中で降板した。それでも内角を鋭く突き、与えた四球1と持ち前の制球力を発揮。「強気の投球ができた」と胸を張った。

 野球を始めたのは元高校球児の父、亮さん(45)の影響で、「どんなにきつくても逃げずにやりなさい」と口癖のように言われてきた。甲子園に駆けつけた亮さんは大舞台での息子の姿に、「強力打線にひるむことなく真っ向勝負した。褒めてあげたい」と話した。(遠山武)