民主主義のとりでの危機 三重県立図書館資料費が最下位

大滝哲彰
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 三重県が県立図書館の資料費として計上した今年度の予算が、全国の県立図書館の中で最も少ないことが日本図書館協会の調査で明らかになった。資料費は、図書館が本を購入するための費用。図書館の関係者からは「民主主義のとりでとしての機能が果たせなくなる」との声も上がる。

 県が今年度に資料費として割いた予算は1791万円。日本図書館協会の調査によると、全国的に見ても2千万円を切っているのは三重県だけという。

 一方、岐阜県は2017年度から、年間7千万円規模の予算を確保し続けている。岐阜県の担当者によると、新刊本の15~20%を購入するためには、この予算額が必要になるという。

 三重県文化振興課によると、10年度の資料費は3716万円で、翌11年度はリーマン・ショック後の国の経済対策による交付金のため、8710万円に上昇。その後は、ほぼ右肩下がりに減り続けている。

 年間来館者数も、例年は30万人を超えていたが、20年度は新型コロナウイルスの影響で約半数に減少したという。県の担当者は「予算の確保には最大限努力している」と説明する。

 県立図書館は県民に平等なサービスを保障するために、「図書館の図書館」としての機能を持つ。このため、近くの図書館に読みたい本がない場合、県立図書館から取り寄せることができる。だが、資料費の削減によって、県立図書館の本の購入が制限されることになり、市町の図書館からは懸念の声が上がる。

 「小さな図書館では、そろえられる本には限界がある」。多気町立勢和図書館の館長補佐兼司書の林千智さんはこう嘆く。図書館の役割について、「小さな地域の図書館だからこそ、この町に住んで幸せを感じられるために、本と人、人と人をつなぐことができる」と話す。

 かつて林さんに、三重県の4倍以上となる約8千万円の予算を資料費に割く岡山県の関係者が「私は図書館で育った」と胸を張って言ったという。「三重でそんなことを言ってもらえるだろうか」。林さんは現場で働きながら時折思う。

 元総務相鳥取県知事も務めたことがある早稲田大学片山善博教授は「それぞれの都道府県の姿勢に差が出るのは当然だが、図書館が衰弱することで県民の知的基盤が細っていくことにつながる」と指摘する。(大滝哲彰)