智弁和歌山、夏の通算40勝目 強打支える安定の守備力

山口裕起
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(24日、高校野球選手権大会 智弁和歌山5-3高松商)

 打たせて取る。投手がよく使う言葉だが、それは野手への信頼があってこそ。先発し、九回2死まで投げた智弁和歌山の右腕・中西聖輝(まさき)は「野手を信じて投げられた。助けてもらった」と感謝した。

 140キロ台の直球とスライダー、チェンジアップをテンポよく投げ込んだ。一回のアウト三つをすべて内野ゴロで奪うと、リズムが生まれる。得点圏に走者を進めても、スタイルは変わらない。四回は1死一、二塁から遊ゴロ併殺、五回も1死二塁から内野ゴロ二つでピンチを断った。

 悪天候による順延と宮崎商の辞退で、この日の3回戦が7月27日の和歌山大会決勝以来、約1カ月ぶりの実戦だった。この間、中西は「感覚が鈍らないように」と打者を立たせての投球練習を行い、野手も前日の甲子園での練習の大半をノックにあてた。

 守備でつくったリズムは、攻撃にもつながる。ゴロを三つ処理した三塁手の高嶋奨哉は2安打をマークし、「守備からのっていけました」。智弁和歌山といえば強打のイメージが強いが、「まずはしっかり守ってこそ」とOBでもある中谷仁監督。九回2死からミスが出たが、傷口は広げない。ブランクを問題とせず、信条とする野球で、チームは夏の甲子園で節目の40勝目(宮崎商戦の不戦勝を含む)を飾った。(山口裕起)

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