差別や偏見に「叛」 ホームレスら支援の同人誌創刊

村上潤治
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 日雇い労働者や在日外国人、ホームレスへの差別や偏見に対抗する人たちの同人誌「叛(はん)」が今月、創刊された。名古屋市で40年以上にわたって支援活動を続けてきた「笹島(ささしま)日雇(ひやとい)労働組合」委員長の大西豊さん(77)は「社会運動に取り組む人が活字で意見を出せる場をつくりたかった」と話す。

 名古屋駅宝石箱のビルのすそ 今夜の寝(ね)ぐら探す人々

 路上芸おきもちの箱抱きかかえ 小銭集めて弁当を買う

 「絶望短歌」と題した82首。路上芸人のえぐれ笹島さん(71)=本名・年藤陽子さん=の作品だ。

 えぐれさんは長年、炊き出し会場でウクレレ漫談をしてホームレスを励ましてきた。だがコロナ禍以降、自身の病気もあり歌えていない。「人に見てもらいたくて、遺書のつもりで発表しました」

 大西さんは旧満州中国東北部)生まれ。長野市で育ち、大学卒業後に出版社で勤務したが、肉体労働にあこがれ、京都へ。大阪・釜ケ崎を経て1977年に名古屋駅周辺の笹島地区に移り、労組を結成した。

 今回、編集委員会をつくり、知人に参加を呼びかけると、えぐれさんら9人が出版の経費を出して俳句や評論、エッセーなどを寄せた。

 大西さんも「不在者列伝」のタイトルで評論を書き、病死したり自死したりした約60人の仲間を追悼した。「景気の調整弁として使われ、亡くなった人たちの無念の思いが、胸の内に刻まれている」

 ホームレスへの襲撃や差別的な言動は後を絶たない。岐阜市では昨年、橋の下で暮らしていた当時81歳の男性が少年らに石を投げられるなどして襲撃され、命を落とした。名古屋市北区の公園では今年5月、男性(65)が少年3人にエアガンで撃たれた。

 大西さんは「最近は著名人までが堂々と生活保護者やホームレスを批判する時代になってしまった」と憂う。

 叛は年1回の発行を目指している。A5判で134ページ。500円(税込み)。問い合わせは大西さん(080・4530・0024)。名古屋市千種区今池1丁目の「ウニタ書店」にも置いてある。(村上潤治)