社会人吹奏楽団、コロナ禍で苦難 コンクール参加減る

戸田拓
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 第66回北海道吹奏楽コンクール(道吹奏楽連盟、朝日新聞社主催)が26~29日、2年ぶりに札幌市で開かれる。コロナ禍が収束しないなか、11地区で行われた地区大会では出場を断念する団体が相次いだ。特に影響が大きかったのが、職場・一般の部に参加する社会人らのバンドだった。

 札幌市の「ウィンドアンサンブル ドゥ・ノール」には10~70代の50人が集う。全国大会に11回出場し、金賞を受けたこともある。出場辞退を決めたのは8月の地区大会直前だった。

 コロナ禍に見舞われた昨年のコンクールは中止された。緊急事態宣言などが出されるたびに活動ができなくなった。団員に医療や福祉、教育関係者がいたことも再開の判断を難しくさせた。4月に地区大会の開催が決まり、「参加できる人だけでも出場しよう」と決めたのは6月のエントリー締め切り間際。メンバーがそろわないパートもあるなかで練習を始めた。

 だが、7月半ばからの感染再拡大で、練習会場の施設がワクチン接種会場となり使えなくなった。ほかの公共施設も夜間の使用や利用人数に制限があり、満足な練習ができなかった。万が一団内でクラスターが発生した場合の反響も小さくないと考え、苦渋の決断をした。

 事務局長の林正賢さんは「『音楽は不要不急なのか』『できる範囲で少しでも活動を続けたい』という思いの間で揺れた。我々にとって音楽は健康の一助となるもの。音楽活動と感染防止を両立できる方法を模索したい」と話す。

 今年の地区大会に参加したのは、一昨年の約1割減の598団体にとどまった。11部門のうち、中学校の部の25人以下「C編成」と高校の部の35人以下「B編成」の2部門を除いて参加団体が減った。特に職場・一般の部で減少が著しく、大編成(65人以下)が23団体から7団体に、小編成(35人以下)が26団体から8団体に減った。

 各地区の吹奏楽連盟は感染防止対策を徹底してきた。地区大会では観客数を制限したり「無観客」にしたりした。演奏者の間隔を空け、団体が入れ替わるごとに床などを消毒した。

 各団体は、家族が感染した団員が濃厚接触者とされて出場できなくなったり、指揮者が感染して直前に代役を立てたりするなど、様々なトラブルに悩まされた。感染者の多い札幌でのコンクールに出演することに団員の勤め先が難色を示すケースもあった。

 大学の部(55人以下)で唯一の全道大会に出場する北海道教育大学函館校は、学校側から札幌への遠征が認められなかった。道吹奏楽連盟は同部門の参加ゼロを回避するため、異例の録画審査を決めた。

 道吹奏楽連盟の井田重芳理事長は「昨年はコロナの影響がつかめず中止せざるをえなかったが、様々な実験や省庁のガイドラインを通じて安全な大会を実施するめどがついた。参加できない団体や生徒らがいるのは残念だが、吹奏楽の灯を消さないよう努力したい」と話す。(戸田拓)