アフガンの元留学生「国外退避の道を」指導教員は案じる

アフガニスタン情勢

大村美香
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 イスラム主義勢力タリバンが政権を掌握したアフガニスタンを、日本の国内からも我がことのように見つめる人たちがいる。筑波大学生命環境系の氏家清和准教授(45)はその一人だ。アフガニスタンにはかつて教えた元留学生が暮らしており、身の危険を感じている彼らは「一時的にでも日本に避難できないか」と連絡してきているという。留学は国際協力機構(JICA)の人材育成プロジェクトによるもので、これまでにアフガニスタンから600人以上が日本で学び、成果を祖国の復興に生かしてきた。氏家さんは「日本をよく知る彼らは両国の架け橋。国外退避の支援を検討してほしい」と訴えている。

 農業経済学が専門の氏家さんは2015年から3年間、アフガニスタンからの留学生2人を受け入れた。2人は20代半ばの男性で、大学院で農産物流通や消費分析を研究。ゼミや授業に出席するだけでなく、関連文献を集めて読み込み、熱心に学んでいた。日本語も日常会話ができる程度に上達し、「勉強の一方、サッカーやクリケットを楽しむこともあり、ごく普通の若者でした」。自国の状況について「多民族国家で多くの問題を抱えている。何とかしていく必要がある」と話していたことを記憶している。

 JICAのプロジェクトは、農学、工学、教育、社会科学などの分野でアフガニスタンの若手行政官や大学教員を日本の大学院に受け入れ、育成するもの。11年に始まり、これまでに614人が来日した。プログラムは今年も動いていて、秋には氏家さんも新たな留学生を迎えることになっていた。

 修了生は祖国に戻り、省庁などで活躍している。氏家さんのもとで学んだ一人も、行政官として復職し、農業普及の仕事を手がけていた。しかし現在は、外国で教育を受け旧政権で働いていたことで、タリバンから報復を受けるのではないかと恐れていて、一時的にでも日本に避難できないかと連絡が来ているという。

 「アフガニスタンにとって貴重な人材であるだけでなく、日本外交にとっても大切な人々。恐怖に直面している彼らに、支援してきた日本が手をさしのべてほしい」と氏家さんは話している。(大村美香)