甲子園、大人にも何かを気づかせてくれる 井森美幸さん

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 これまで多くのゲストに甲子園球場にお招きし、熱戦をご覧いただきました。今夏の球児らへのメッセージとともに、「観戦記」の一部を再びお届けいたします。

井森美幸さん(タレント)

 昨年は行き場のない涙と戦いながら、明日さえ見えなかったと思います。それぞれの思いを胸に、かけがえのない仲間たちと全力で楽しんで下さい。2年分の熱い夏になることを願って応援しています。

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(2014年8月13日 第96回大会 鹿屋中央2-1市和歌山ほか観戦)

 私の涙腺、どうしちゃったんだろう。高校野球だけは見てて、泣けてきます。市和歌山の二塁手、山根くん、それまですごくいいプレーでチームを助けてきたのに……。彼は最後のプレーをずっと忘れられないんだろうな。試合終了のサイレンって、ただでさえグッとくるのに、今日は特に心を打たれます。

 感情移入しやすいんです。負けた方にも焦点をあてる「熱闘甲子園」(ABCテレビ・テレビ朝日系)を録画して見るほど好きで高校野球にのめり込みました。見るたびに「私の高校時代ってどうだったんだろう?」って考えさせられます。2年生から東京に転校して芸能活動をしていたので充実はしていました。ただ、たまたまオーディションに合格して歌手になったので「こうなりたい!」という確たるものはなかった。

 でも高校球児たちは「甲子園に行き、勝つ」とはっきりした目標に向かって全力です。アルプスで応援する生徒たちもキラキラしています。29年間、芸能界でやってきて、疲れるようなことがあっても、そのまぶしい光を浴びると「明日からもっと頑張ろう」と思わせてくれます。

 八回、鹿屋中央の同点のきっかけとなる安打を放った代打西村くん、本塁を踏んだ代走広森くん。きっとベンチで声を出し、普段の練習を手を抜かずにがんばり続けたからチャンスをもらえたんだろうな。

 例えばトーク番組なら、求められている役割を全力で果たして場を盛り上げ、楽しんでもらおうと心がけています。そうするとその番組で自分の場面がカットされても、次の仕事につながることが多い。人はちゃんと見てくれています。自分もせっかく「ドラフト1位」のような形でデビューしたのに、歌が売れなくなった。でも当時のマネジャーが仕事ぶりを評価してくれて、バラエティー番組に売り込んでくれたことが今につながっています。

 第1試合で地元の健大高崎の逆転勝ちが見られました。初めて甲子園で高校野球を観戦したのが昨年の準々決勝。優勝した前橋育英が0―2で九回裏2死まで追い込まれ、私は正直「もう終わった」と思いました。そこから同点、逆転劇。選手、アルプスも含めて、誰もあきらめていなかったんです。大人にも何かを気づかせてくれる甲子園。今日もいろいろ学べました。

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 いもり・みゆき タレント。1968年生まれ。群馬県出身。52歳。第9回ホリプロスカウトキャラバンでグランプリを獲得し、85年にデビュー。バラエティー番組などで活躍中。