明徳エース、監督も驚く別人のオーラ 直球が復活し完封

伊藤雅哉
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(25日、高校野球選手権大会 明徳義塾2-0松商学園)

 明徳義塾馬淵史郎監督が書いたシナリオをなぞるような展開だった。

 勝ち目があるならロースコア。初戦で17得点の松商学園は、前半に得点できなければ焦りが出るチームだとみていた。そして、やや強めの浜風。試合前、「今日は風が勝敗を左右するよ」と選手たちに言った。

 2得点は、いずれも風が作用した。二回、エース左腕の代木大和が右翼ポール際へ先制ソロ。六回は、捕手の加藤愛己(あいき)が左翼ポール際へ運んだ。監督の解釈はこうだ。「代木のは普通、ファウル。加藤のは押されてホームラン。風が味方してくれた」

 ただ一つ、監督の予想が外れたのは、代木が3安打完封したことだ。「代木に尽きる。勝てるときはマウンドでオーラがある」。試合中盤で降板した1、2回戦とは別人に見えた。

 投球のほぼ半分が得意球のカットボール。これを内外角に決め、打たせて取るのが持ち味だ。加えて、まっすぐが生き返った。最速139キロながら低めに集め、堅い守備にも助けられてゼロを重ねた。

 代木には期する思いがあった。24日の練習で、監督から「エースの意地を見せろ」と言われたからだ。1点だけ技術的なアドバイスもあった。体が突っ込み気味で投げていたため、まっすぐ軸足で立ち、体重を乗せるように言われた。代木によると「一呼吸くらい」間を置くイメージだ。「しっかり腕を振れるようになった」と実感があった。

 七回には2死一、三塁を背負ったが、内角直球で遊ゴロを打たせ、最大のピンチを脱した。「攻めるときは攻めて、引くときは引く。あの場面は引いたらのみ込まれると思った」

 左腕が強気も取り戻し、5年ぶりの8強進出だ。伊藤雅哉