「ウソの密告」軍用犬は放たれた かみちぎられた兄弟、米軍への憎悪

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バグダッド=伊藤喜之
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 甲高い犬の鳴き声、そして、兄弟の断末魔が耳にこびりついている。

 2007年9月24日未明、バグダッド北部の農業地帯。サミア・ハリルさん(49)はヘリの騒音で目覚めた。通りを挟んで数十メートル離れた実家の上空に、ヘリが旋回していた。

 実家は3棟の建物が軒を連ね、農業を営む兄弟9人がそれぞれの妻子らとともに暮らしていた。

 米兵がヘリから地上に降り立ち、実家に一斉に突入した。ヘリからロケット弾が撃ち込まれ、地上で銃声が鳴り響く。

 兄弟のうち、数人は農地に逃げ、茂みに身を隠した。しかし、米軍は追っ手として軍用犬を放った。またたくまに見つかり、体をかみちぎられた。

 「神よ。ウオーーー」

 そのときの兄弟の叫び声はサミアさんが夫らと暮らす自宅にまで届いた。米軍の突入で、15~30歳の兄弟5人、そして、親類1人が殺害された。

 なぜ、米軍は兄弟らを狙ったのか。サミアさんには、心当たりらしいことが一つだけあった。

 兄弟の多くはフセイン政権時…

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