「テロ情報ある」急ぐ米軍撤退 アフガン人退避は不透明

有料会員記事アフガニスタン情勢

ワシントン=園田耕司、バンコク=乗京真知 ロンドン=金成隆一、ベルリン=野島淳、ローマ=大室一也
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 アフガニスタンからの米軍撤退期限が8月末に迫るなか、バイデン大統領は期限を延長せずに撤退を進める方針だ。米国内で批判が強まるほか、欧州各国にも「退避が間に合わなくなる」との懸念が広がっている。日本政府は、自衛隊輸送機による退避作戦を急ぐ。

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 「確実に作戦を完了させると私は決意している」

 バイデン氏は24日の記者会見で、8月末までに退避を終えて予定通り米軍を撤退させる姿勢を鮮明にした。バイデン氏によると、アフガン政権崩壊前日の14日以降、7万人を退避させた。退避作戦のペースは加速しており、直近の12時間だけで米軍機は6400人を退避させたと強調した。

 さらにバイデン氏は、退避作戦が長期化すれば、米軍がテロ攻撃にあうリスクが高まる恐れを挙げた。イスラム主義勢力タリバンと対立する過激派組織「イスラム国」(IS)系組織が、テロ攻撃を画策していると指摘。バイデン氏は「空港をターゲットに、米軍や同盟国の軍隊、何ら罪もない市民を攻撃しようとしている」と早期撤退の必要性を説明した。

 これ以上の米軍兵士の犠牲を防ぎたいというバイデン氏の思いは強い。バイデン氏が20年間の戦争に終止符をうち、撤退を決断した大きな理由は、「国益のためにならない」(バイデン氏)戦争で米国民が犠牲になってきたことにある。また、アフガン政権崩壊とその後の混乱で、米国内で政権批判は強まっており、退避作戦の早期完了によって混乱から抜け出し、政権を立て直したいという思惑も透ける。

 米メディアによると、一部の米軍はすでに撤退を開始。退避作戦が行われている首都カブールの空港に5800人の米軍兵士が派遣されているが、このうち300人はすでに帰還手続きに入っているという。

 ただ、ここで生じる最も大きな問題は、米軍元通訳などアフガニスタン人の退避希望者すべての退避が8月末までに可能かという点にある。米政府が退避対象にしているのは、米国市民のほか、特別移民ビザを申請したアフガニスタン人だ。米国防総省のカービー報道官は24日の記者会見で、8月末までの米国市民全員の退避については自信を見せたものの、退避を希望するアフガニスタン人全員については明言を避けた。

 米政府はこれまでの退避者の内訳を「流動的」などとして公表していない。しかし、米紙ウォールストリート・ジャーナルによると、退避者のほとんどは、米国民や米国のグリーンカード(永住権)保持者とその家族たち。米機関などで働いていた現地の人は大きな数を占めていないという。

 現地の退避活動は混乱が続いている。アフガニスタン人の国外退避が今後どこまで進むか不透明だ。バイデン氏は会見で、8月末までに退避作戦を完了するかはタリバンの「協力継続」にかかっていると指摘した上で、「状況はもろい」と述べた。

 一方、タリバンの報道担当のザビフラ・ムジャヒド幹部は24日の記者会見で米軍撤退期限について「延期は許されない」と強調。米国人やそれに協力したアフガニスタン人元通訳らの国外退避が遅れているのは、米国の計画性のなさが原因だと指摘した上で、期限の延期は「認められない」「合意違反だ」と牽制(けんせい)した。延期した場合の対抗策については語らなかった。

 空港周辺に群衆が殺到していることには、「(国外退避に必要な)書類を持っている者以外は空港に近づくことを許さない」と語った。現在、空港周辺の道で検問を実施し、帰宅を促しているという。各国政府が国外退避の対象としているアフガニスタン人については、空港へのアクセスを認めるという。

 バイデン氏の方針に、米議会では批判が強まっている。共和党のベン・サス上院議員は「期限なんてくそくらえだ。大統領、タリバンに対して『どんなに長くかかっても我々は人々を脱出させる』と言うべきだ」とツイート。民主党からも「8月31日までに達成できない。期限は延長するべきだ」(ジェイソン・クロウ下院議員)との声が出ている。(ワシントン=園田耕司、バンコク=乗京真知

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