長崎商を支えたダブルエース ライバルではなく超仲良し

三沢敦
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 全国高校野球選手権大会で長崎商は25日、神戸国際大付(兵庫)に5―6で惜しくも敗れた。終盤に追いつき、延長戦でいったん勝ち越す粘りを見せたチームを支えたのは、互いに高め合ってきた「ダブルエース」だった。

 五回裏。2死二、三塁のピンチを迎えると、1ボールのところで投手交代が告げられた。先発の城戸悠希(はるき)君(3年)からボールを受け取った田村琉登(りゅうと)君(3年)は、最初の打席で本塁打した4番打者を打ち取り、切り抜けた。

 ここまで「二人三脚」で来た2人。新チームが発足した昨秋、エースの城戸君が原因不明の発熱で戦列を1カ月以上離れた時、背番号1を託されたのが田村君だった。それまで公式戦での登板経験はなかった。「エースの自覚を持たないと」。練習に励んだ。

 昨秋の長崎県大会。田村君が投げて勝ち上がると、準々決勝では田村君を回復した城戸君が救援。だが、打ち込まれ、サヨナラ負けを喫した。城戸君は、その悔しさをバネに努力を重ね、今春のNHK杯から背番号1に戻った。

 長身の城戸君は角度のある140キロ超の直球が武器の本格派右腕。横手投げの田村君は変化球を両サイドに投げ分け、打たせて取るタイプ。力を付けた2人に西口博之監督は「どちらもエースの実力。背番号は関係ない」と伝え、「ピンチを楽しめ」「土壇場で底力を」と、たたき込んだ。2人も「勝ちそうな時に喜ばず、負けそうな時に悲しまない」と肝に銘じた。

 長崎大会は5試合中4試合を城戸君と田村君の継投で勝ち抜いた。1点差が3試合、2点差が1試合。決勝は九回2死から追いつき、延長十回に勝ち越し、甲子園をたぐり寄せた。

 甲子園でも2人は精神力の強さを発揮。初戦の熊本工戦では先発の城戸君が初回に先頭打者の三塁打を含む4連打を浴びたが、動じることなく2三振を奪い、2失点にとどめた。2回戦の専大松戸戦では救援した田村君が九回、連続四球と暴投でピンチを招いたが、あわてずに配球を修正し、併殺で切り抜けた。

 負けん気の強い2人に、しのぎを削るライバルのイメージはない。マウンドを降りれば大の仲良し。甲子園に来てからもいつも一緒に練習メニューをこなし、隣り合って夕食をとる。「助け合ってここまで来た。どちらが欠けても甲子園には来られなかった」。2人はそう感じている。

 25日の神戸国際大付戦はそんな2人を野手陣も無失策で支えたが、最後に逆転を許した。試合後、「田村には迷惑ばかりかけてきた。『ありがとう』と伝えたい」と城戸君が話せば、田村君も「最後まで頼もしかった。城戸がいたから成長できた。チームメートになれて本当に良かった」と語った。(三沢敦)