絶対王者・井山か、最強の若手・一力か 囲碁名人戦開幕

村上耕司、尾崎希海
[PR]

 井山裕太名人(32)に一力遼天元(24)が挑戦する第46期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)が26日、東京都文京区のホテル椿山荘東京で開幕する。七番勝負では後進にタイトルを一度も譲ったことがない井山に対して、最強の若手が満を持して最高峰の舞台に上がってきた。

 井山は名人獲得通算7期。昨年、芝野虎丸王座(21)から名人を奪取し、3度目の返り咲きを果たした。棋聖、本因坊と合わせ、2日制のタイトル三つをすべて独占する「大三冠」で、今年7月には本因坊10連覇を達成。棋聖も9連覇中と、七番勝負では圧倒的な強さを誇る。

 一力は現在、碁聖と合わせて二冠。昨年の天元戦五番勝負で、井山への七大タイトル6度目の挑戦にして初めてタイトルを奪取。現在進行中の碁聖戦五番勝負では、挑戦者の井山にここまで2勝2敗と互角の戦いを演じており、芝野に代わって「打倒井山」の一番手に浮上している。

 第1局を翌日に控えた25日、両対局者は対局室検分に臨み、使用する盤などを確認した。検分後には両者に一人ずつインタビューが行われた。井山は一力挑戦者の印象について「トップ棋士のひとりで、非常に大変な相手という感じ。総合力の高い棋士で、全体的にレベルが高く、穴が少ない」。名人戦に向けては「これまでもたくさん七番勝負を経験しているので、うまく生かして戦えればと思う。自分なりにコンディションを整えて、明日からの対局にベストを尽くしたいと思います」と話した。

写真・図版
開幕式であいさつする井山裕太名人(右)と一力遼天元=東京都文京区のホテル椿山荘東京、迫和義撮影

 一方、一力は初めての名人戦。「リーグに入るまでに時間がかかった棋戦なので、自分の中ではやっと出てこられたということで、光栄な気持ち。経験という面では井山さんに劣りますが、いい状態で臨めればチャンスもあると思うので、まずは自分自身の力を最大限発揮できるよう準備していきたい」と話した。また、2日制の対局については「8時間の碁は久しぶりですが、長い碁の成績もここ最近は上がってきているので、自信を持って臨めるようにしたい。開幕局は非常に重要な意味を持つと思うし、さらにこの直後に碁聖戦もあるので、そういった意味でも大きい対局になると思います」と話した。

写真・図版
開幕式であいさつする一力遼天元(右)と井山裕太名人=東京都文京区のホテル椿山荘東京、迫和義撮影

 コロナ禍のため、ファンを集めた前夜祭は行われず、午後6時から関係者のみで開幕式が開かれた。中村史郎・朝日新聞社社長、小林覚・日本棋院理事長、正岡徹・関西棋院理事長があいさつ。両対局者が退出した後に立会人の張栩九段、解説の芝野虎丸王座、記録係の青木裕孝二段、辻華初段が登壇。今期名人戦の見どころについて、芝野王座は「かなりレベルが高くてどちらが有利とは言えないと思うが、2日制という舞台では井山さんの方が経験も多い。そこで井山さん有利かなと。ただ、名人戦は過去5年、挑戦者側が全部勝っている。今回挑戦者は一力さん。そう考えると自分の予想に自信がなくなってきた」。

写真・図版
開幕式で第1局の展望を語る芝野虎丸王座=東京都文京区のホテル椿山荘東京、迫和義撮影

 張九段は「願望を込めて言えば、7局目までいってほしい。そうなれば最高の戦いが見られる。予想という意味では、1局目に勝った方が大きいかな。一力さんは勢いがあるし、井山さんは2日制の戦いでは若い世代に負けたことがない。この1局目でどちらかが勢いを落としてしまうと流れが悪くなったり、勝った方が勢いに乗る可能性が高い。絶対に目が離せない対局。この1局目が占める意味はすごく大きい」と話した。

写真・図版
開幕式で第1局の展望を語る張栩九段(中央)=東京都文京区のホテル椿山荘東京、迫和義撮影

 持ち時間は各8時間の2日制。第1局は26日午前9時に始まり、同日夜に打ち掛け。27日午前9時に再開し、夜までに決着する見込み。立会人は張栩九段が務める。

     ◇

 対局の模様は朝日新聞デジタルの囲碁ページで随時お伝えします。

 またユーチューブの「囲碁将棋TV ―朝日新聞社―」で棋士による解説を中継します。村上耕司、尾崎希海)