パラ競技の公平性は? 直前のクラス変更、困惑する選手

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榊原一生
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 東京パラリンピック開幕直前に、陸上男子車いすの伊藤智也(58)=バイエル薬品=の障害が一つ軽いクラスに変更される事態が起きた。競技の公平性を保つための五輪にはない独自ルールによって、メダル獲得は厳しくなった。

 伊藤は25日、東京都内で記者会見した。車いすT52から一つ軽いT53へのクラス変更になったことについて、「聞いた時はかなりショックだった。この5年はT52の400メートルを軸に全てのトレーニングを組み立ててきた。走れないのは無念だ」と心境を語った。

 パラリンピックは競技の有利不利が生じないようにクラス分けがある。陸上でTはトラック、50番台は車いすを示し、番号が小さくなるほど障害は重くなる。

 伊藤は車いすT52クラスのトップ選手だった。2008年パラリンピック北京大会で2冠を達成し、ロンドン大会で三つの銀メダルを獲得。現役を一時退いたが、進行性の自己免疫疾患多発性硬化症」を抱えながら自国開催の東京大会に向けて17年に復帰した。

 日本パラ陸上競技連盟の指宿(いぶすき)立(たつる)・強化委員長によると、20日の検査終了後に体幹機能が残っていると指摘を受けたという。翌21日に判定を不服として抗議文書を提出。23日に再検査をしたが、覆らなかった。

 体の機能が回復する選手もいるが、伊藤は否定した。「昨年、病状が再発し状態は悪くなった。自分の病気は能力が復帰するようなものではない」

 本命の400メートルはT52ではなく、本来は出場資格のないT53(29日)に特例で出場する。レースでは経過観察も行うため、そこでT52への再判定が認められれば、T52の1500メートル出場が可能になるという。伊藤は「(53と52では)高校生と小学生ぐらい競技力の差がある。それでも、スタートラインに立てることを喜びに感じ、ベストを尽くしたい」と話した。

 選手の競技人生を左右する判定を、なぜ直前に実施したのか。

 本来、クラス分けは大会前の…

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