子供たちの絵参考に「深海魚」キャラ 「認知広めたい」

町田正聡
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 鹿児島でとれる深海魚を「うんまか深海魚」と名付けてPRしている「かごしま深海魚研究会」のキャラクターが誕生した。もとになったのは、子どもたちが深海魚をイメージして描いたイラストだ。

 研究会は昨年8月、学者や水産会社、深海に生息するヒゲナガエビ(タカエビ)漁が盛んな南さつま市などで結成した。深海で有名な駿河湾に接する静岡県沼津市は、深海魚を目玉に地域おこしで活気づく。鹿児島も沼津に負けない「西の深海魚王国」にと狙う。

 研究会代表で鹿児島大水産学部の大富潤教授(58)によると、水深200メートル以上とされる深海が内湾にあるのは国内では錦江湾だけ。鹿児島では錦江湾に加え、南西諸島、薩摩半島周辺でも駿河湾と同様においしい深海魚がとれる。

 キンメダイやメヒカリはもちろん、刺し身をはじめどんな料理でもおいしいハマダイ(チビキ)、高級魚のノドグロと同じ仲間のスミクイウオ、甘いナミクダヒゲエビ(アカエビ)、中骨まで軟らかいキュウシュウヒゲ、白身が上品なボウズコンニャクなどだ。だが認知度が低く、市場ではほとんど流通しない。海で投棄されたり、流通しても深海魚と知られずに食べられたりしている。

 そこで今春、県内の若者や子どもたちに深海魚に関心を持ってもらおうと、3歳から15歳までを対象にイラストを募集した。県内全域から201点の応募があり、大賞に選ばれたのは日置市市来町の四之宮夏海(しのみやなつみ)さん(7)=鶴丸小1年=の作品。ラジオから音楽が流れる深海で、楽しげに泳ぐ魚をクレヨンと水彩を使って表現した。

 母親の緑さん(36)によると、夏海さんは釣り好きの父親健生(けんせい)さん(34)の影響で、魚を食べるのも釣りも大好き。5年間過ごした屋久島で泳いだり釣りをしたりして海と魚に親しんだ。「おいしいから魚が好き」と夏海さん。ハガツオやキスが好物という。

 研究会のキャラクターは、四之宮さんらの入賞作品を参考に鹿児島市内の企業のデザイナーが制作した。県内の深海魚のシンボル的存在であるハマダイがモチーフだ。早速、Tシャツをつくった。

 研究会に賛同して「うんまか深海魚」の新規メニュー開発に取り組む料理店などの「深海魚研究所」も32店にまで増えた。大富教授は「うんまか深海魚をキャラクターとともにどんどん広めていきたい」と意気込んでいる。(町田正聡)

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