「4学年で戦う」 長崎商、先輩の無念胸に意地の同点劇

三沢敦
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 長崎商は25日、神戸国際大付(兵庫)に5―6でサヨナラ負けを喫し、8強入りを逃した。終盤に追いつき、延長戦で一時は勝ち越す展開に応援席がどよめいた。69年ぶりに初戦を突破した選手たちが、最後まであきらめない粘りの「長商野球」を見せつけた。

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 2点を追う八回。西口博之監督が代打に指名した。1死走者無し。何とか突破口を開こう、と打席に立った主将の青山隼也君(3年)の耳に、吹奏楽部の応援曲が高らかに聞こえてきた。スタンドに彼らはいない。コロナの急拡大で第2戦から来場できなくなり、録音した音源を届けてくれた。その音があこがれの球場に響いていた。

 「青山、青山」。チームメートが必死に声援を送る。粘りに粘って四球を選んだ。久松太陽君(同)の中前打で三塁へ。「いけるぞ」。続く大坪迅君(2年)の中前適時打と敵失で、久松君とともに本塁を踏んだ。4―4。ゲームは振り出しに戻った。

 あの日がよみがえる。

 昨夏、コロナ禍による大会中止に泣きじゃくった先輩たちから、翌日呼び出された。「おれたちは甲子園の道がなくなった。絶対に行ってくれ。約束だ」

 「先輩たちの無念を背負って4学年で戦うんだ」と心に刻み、チームを引っ張ってきた。長崎大会決勝。九回2死から追いつき、反撃の口火を開くことができたのも、「ここで終われない」という強い思いを全員が共有していたからだ。

 あの試合さながらに、神戸国際大付戦も延長戦にもつれ込んだ。十回、先頭打者として左前打を放ち、大坪君の三塁打で再び本塁を踏んだ。だが、喜びもつかの間、その裏、サヨナラ負けが待っていた。

 悔しくないと言えばうそになる。ただ不思議と涙はこぼれない。夢の舞台で、粘りの「長商野球」を見せつけたじゃないか――。

 試合後のオンライン会見。青山君は仲間に向けてこう言った。

 「頼りないキャプテンだったけれど、ついてきてくれてありがとう。最高のチームでキャプテンがやれて幸せだった」(三沢敦)