鈴木孝幸の観察眼と勝負勘 ベテランの経験、生かした銅

波戸健一
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 東京パラリンピックは第2日の25日、競技が始まり、競泳の男子50メートル平泳ぎ(運動機能障害SB3)で鈴木孝幸が銅メダルに輝いた。

 34歳のベテランの味が詰まったスタートだった。ブザー音が鳴ると、鈴木孝幸がどんぴしゃりのタイミングで飛び込んだ。

 「他のレースを見ていて、『テイク・ユア・マーク』の合図から(ブザーが)鳴るまで時間があるなと思った」。観察眼を生かし、普段よりほんの少しタイミングを遅らせたスタートがはまった。

 先頭で水面に浮き上がり、25メートルをトップで通過。30メートルぐらいで並ばれたが、「何位かわからなかったけど、最後まで諦めずに行くしかなかった」。

 後半はリスクを取って、息継ぎの回数を予選よりも減らす判断が吉と出た。ストローク2回に1回の息継ぎをした場面もあった予選から作戦を変え、コーチの助言も仰いで4回に1回の息継ぎで押し切った。

 生まれつき右足がなく、左足も短い。ひじから先がない右腕と、指が3本しかない左手で力強く水をかいた。49秒32の3位でフィニッシュ。2大会ぶりのメダル獲得だ。「表彰台に戻れてよかった」と喜びをかみしめた。

 高3時の2004年アテネから5大会連続出場。16年リオデジャネイロ大会ではメダルを逃し、この日は12年ロンドン大会以来の通算6個目のメダルとなった。今大会は日本の競泳チームの主将も任される。「僕は声でみんなを鼓舞するのは得意じゃない。羊飼いのようなキャプテンになりたい」。競技初日に結果でチームを盛り上げた。(波戸健一)