夏初スタメンの1番打者が3安打 智弁学園の強打を牽引

米田千佐子
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 第103回全国高校野球選手権大会(朝日新聞社、日本高校野球連盟主催)で奈良代表の智弁学園は25日、日本航空(山梨)との3回戦に7―1と勝ち、10年ぶり3度目のベスト8進出を果たした。県勢としては第99回(2017年)の天理以来4年ぶりの8強入り。また、これが春夏通じて智弁の甲子園40勝目となった。智弁は26日の準々決勝第3試合(午後1時開始予定)で明徳義塾(高知)と対戦する。

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 「あした1番打たすから、思い切ってやってきたこと出せ」。智弁学園の垪和(はが)拓海は3回戦の前日、小坂将商監督に言われた。待ちに待った出番に燃えた3年生が打線を引っ張り、智弁が春夏連続のベスト8へ勝ち上がった。

 日本航空の先発は左のヴァデルナ・フェルガス(3年)。2試合連続完投で3失点と手ごわい。小坂監督は甲子園での2試合で7打数1安打だった左打ちの谷口綜大(そうた、同)を下げ、右打ちの垪和をこの夏初めてスタメンで送り出した。

 垪和は1、2打席目とも四球で出たが二盗に失敗。チームはヴァデルナのスライダーに苦しめられて五回まで2安打。ただ、92球も投げさせていた。

 1点を追う六回、垪和が先頭で打席へ。「ストライクを狙おう」。初球、スライダーが外から真ん中に入ってきた。左中間二塁打。この夏の自身初安打に、垪和の笑顔がはじけた。

 続く岡島光星(同)も浮いたスライダーを左前へ運んだ。無死満塁から山下陽輔(同)は遊ゴロ併殺に倒れたが、垪和が同点のホームを踏む。さらに敵失で勝ち越した。もう止まらない。七回は垪和が左前適時打。九回は垪和の中前安打で始まり、ダメ押しの4得点だ。3打数3安打1打点。背番号12が監督の期待に応えてみせた。

 もとは投手だったが、打撃センスを買われて野手に転向。今春の選抜大会は3試合ともフル出場し、10打数3安打2打点。そこから夏へ向けて打撃を磨いた。

 だが奈良大会前最後の練習試合で左手中指を骨折。1試合の途中出場にとどまり、同じ右翼手の谷口が活躍する姿に悔しさもあった。それでも別メニューの間、走り込みとウェートトレーニングに没頭。全力で振らなくても打球が飛ぶようになった。「甲子園で暴れたい」と出番を待った。

 甲子園に来てから投打の主役が力を発揮し、監督の切ったカードも当たった。いい波に乗り、智弁が明徳義塾に挑む。(米田千佐子)