足に被弾、密航、そして水泳 32歳の私が伝えたいこと

有料会員記事

遠田寛生
[PR]

パラ競泳男子 難民選手団のイブラヒム・フセイン

 生きるって難しい。

 26日、東京パラリンピック競泳男子100メートル平泳ぎ(運動機能障害SB8)に、難民選手団として2大会連続で出場したイブラヒム・フセイン(32)はしみじみと語る。

 「でも、苦しんでいる人もいつか良いことがある。いい明日が来ると信じて」

 シリア東部のデリゾールに生まれた。5歳で水泳を始め、五輪が目標になった。素質は高く、アジアの大会で優勝した父がコーチとあって期待は膨らんだ。

 2011年、母国で内戦が起きた。両親と12人のきょうだいは国外へ避難。フセインは残ったが、スポーツ施設は閉鎖された。街には爆弾が連日投下され、病院や公共施設が破壊された。電気や水道は切られ、食料入手も厳しくなった。

 12年、夢はついえた。ある日、フセインの家から帰ろうとした友人が、外に出ると目の前で狙撃手に撃たれた。苦しみながら助けを求めてきた。恐怖で一瞬、たじろいだが動いた。

 「助けなければ一生自分を責める」

 友人を抱えて逃げようとする…

この記事は有料会員記事です。残り1450文字有料会員になると続きをお読みいただけます。