新種発見、これからはSNSで? 生き物の報告相次ぐ
新種の生き物が、ツイッターやフェイスブックなどのソーシャルネットワークサービス(SNS)の投稿をきっかけに見つかるケースが増えている。スマホの普及で誰でも簡単に写真や体験を共有できるようになったことが背景にある。SNSが生物発見の新たなフィールドになるかもしれない。
法政大学の島野智之教授(動物分類学)が今年3月、ダニの新種チョウシハマベダニを見つけたと報告した。学名は、アメロノトルスツイッター(Ameronothrus twitter)。その名の通り、ツイッターから発見されたダニだ。
きっかけは2019年5月に会社員の根本崇正さんがツイッターに投稿した写真だ。アマチュアカメラマンとしてダニをよく撮っていた根本さんは、家族で釣りに訪れていた港の近くで見慣れぬダニを見つけた。匿名のアカウントで「防波堤にて」などとコメントを添えて写真を投稿した。
偶然にも島野教授のもとにそのツイートが流れてきた。背中のしわなど、これまでに知られているダニとは異なる特徴に「これは新発見だ」と直感した。面識のない根本さんにすぐにメッセージを送信。撮影地を教えてもらい、投稿から2日後には現地を訪ね、サンプルを手に入れた。細部まで観察し、やはり新種だと判明した。
こうした、SNSがきっかけで新たな生き物が発見される事例は近年、相次いでいる。
小笠原諸島(東京都)の植物ムコジママンネングサは、昨年6月に新種として発表された。16年に都の小笠原支庁の公式ツイッターが別の植物として投稿した写真が発端だった。東北大の伊東拓朗助教が、「花を咲かす時期や群落の作り方が紹介されている種とは違う」と考え、調査をしたところ新種とわかった。
海外でもアマチュア昆虫家が14年末にフィリピンで見つけたバッタをフェイスブックに投稿したところ、専門家の目にとまった。16年にミンダナオ中央大学などでつくる研究チームによって、ヒシバッタ科の新種として報告された。
島野教授は、「SNSは新種発見のスピードアップを促している。未知の生物の多くがいまだSNSに埋もれている」と新たな可能性を見いだす。見つかったダニの学名に、ツイッターと含めたのも、そんな期待を込めたのだという。
もともと、市民が科学のプロ…
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- 【視点】
これまでもTwitterでは、古文書の解読など、さまざまな専門家が知恵を寄せ合って問題解決する姿が見られました。インターネットの良い点である「集合知」がもっとも生きるシーンということなのでしょう。場所特定による乱獲など「弊害」が出るのもまた