日テレ「スッキリ」アイヌ差別表現を検証 チェック甘く

上田真由美
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 日本テレビの情報番組「スッキリ」でアイヌ民族を傷つける表現があった問題で、同社は26日朝の同番組内で、この問題の検証を30分間にわたって放送した。改めてアイヌ民族や視聴者に謝罪し、チェック体制の甘さを認めた上で、放送に至った経緯や再発防止策を説明した。

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「スッキリ」でのアイヌ民族差別表現についての検証。MCの加藤浩次さん(右)らが改めて謝罪した=「スッキリ」の放送から

 3月12日の放送で、アイヌ民族を描くドキュメンタリーを紹介したお笑い芸人の発言が問題となった。直後から多くの批判が寄せられ、放送倫理・番組向上機構BPO)の放送倫理検証委員会は7月、「明らかな差別表現を含んだもの」として放送倫理違反があったとする意見書を公表。事前収録だったにもかかわらず、放送に至ったチェック体制の甘さも指摘した。

 問題の表現について、26日の検証では「『この作品とかけまして動物を見つけた時ととく。その心は…』と言い、続いて、『アイヌ民族の名前を動物に例えるコメント』をしました」「これは、以前からアイヌ民族の方々に向けられてきた差別表現でした」とナレーションで説明した。

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「スッキリ」でのアイヌ民族差別表現についての検証では、放送までの経緯を説明した=「スッキリ」の放送から

 この内容についてBPO委員から「決して公共の電波には乗せてはいけない差別語がそのまま放送されてしまった」「差別の意図がなくても容認されるわけではない」などと厳しく批判された、と伝えた。

差別になるとは考えず

 チェック体制については、次のように説明した。

 ▽2時間25分にわたる番組の制作には182人が関わり、コーナーごとの責任者が内容をチェックする体制で、問題のVTRも、日本テレビの社員プロデューサーと制作会社の担当プロデューサーに一任されていた

 ▽社員プロデューサーが、アイヌの人を動物に例えているのではなく、動物を見て発する言葉を謎かけにしたもので差別になるとは考えず、考査部に念のため確認しようと思ったが失念してしまった

 ▽VTRはメールで関係者間に共有されたが、「何も問題がなければ何の連絡もしない」というやり方が常態化していた

 ▽放送当日にスタジオの副調整室で放送を見ていたチーフプロデューサーらが違和感を抱いたものの、コンプライアンスは担当プロデューサーが事前確認しているだろうと思い、放送中に即座に訂正や謝罪ができなかった

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「スッキリ」でのアイヌ民族差別表現についての検証では、番組の当時の制作体制について説明した=「スッキリ」の放送から

 その上で、BPOからの「スキだらけのチェック体制」といった指摘などをなぞりながら、MCの加藤浩次さんが「非常に重い指摘」との受け止めを話し、「僕自身も北海道出身という立場にありながら、番組の中で速やかに謝罪することができなかったことを本当に深くおわび申し上げたい」と改めて謝罪した。

 また、背景にはアイヌ民族に対する知識不足があったとして、検証の中でアイヌ民族の歴史や同化政策も取り上げた。北海道アイヌ協会副理事長の中村吉雄さんの「失ったのは言語、アイヌ語、生き方」というインタビューを流し、番組で使われたのと同じ表現を中村さんも子どものころに言われた経験などを伝えた。

 日本テレビは朝日新聞の取材に対し、検証の中で直接的な表現を避けたことについて「差別表現を繰り返すことで不快な思いをされたり、傷ついたりする方がいるのではないかと懸念し、アイヌ民族の方のご意見もうかがったうえで直接的な表現を避ける判断をした」と説明した。

 同社は関東地区で29日午前2時半にもほぼ同じ内容の特別番組「検証『スッキリ』アイヌ民族差別表現はなぜ放送されたのか」を放送する。北海道では、札幌テレビが30日午前2時5分から放送する。(上田真由美)