虎党バスケットマンが甲子園で大会開催 仕掛けた理由は

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小俣勇貴
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 高校球児が躍動する阪神甲子園球場兵庫県西宮市)。その「聖地」を拠点に、別の競技を盛り上げようとする動きがある。

 7月17日。最寄りの阪神甲子園駅で電車を降りると、構内放送がアップテンポな音楽でかき消された。改札を出ると、目の前には青と白のバスケットコートが。球場を背に、選手たちがボールを競り合っていた。

 西宮市を拠点とする3人制バスケットボールのプロチーム「EPIC.EXE」(E・E)が主催する大会だった。小中学生向けの試合も開かれた。参加した西宮市の中学3年、キャンベル・ライアン君(15)は興奮気味に振り返った。「いつもは体育館だけど、外で音楽が流れている試合、かなり楽しいっすね」。こうも言った。「バスケを知らない人たちにも見てもらえる。この競技を知ってもらえたらうれしい」

 3人制バスケは米国の公園や路上で遊びの延長として親しまれてきた「ストリートバスケ」を起源に持つ。2007年に国際バスケットボール連盟(FIBA)が共通ルールを整備した。公認の競技種目となった。5人制と違って使用するのはハーフコート。試合時間も4分の1の10分間。気軽に楽しめるスポーツとして注目され、日本では14年にプロリーグが発足。東京五輪でも、正式種目に採用された。

 企画したE・Eの岸田大佑社長(44)もキャンベル君と同じ思いだった。「バスケットとは違う層、野球ファンにも興味を持ってもらいたかった。甲子園の力を借りて、ここを『バスケの聖地』にもしていきたいと思っています」

 一度は破れた夢だった。

 西宮市出身。小学4年でバスケットを始めたが、「周りはみんな野球をやっていた。阪神か巨人が好きで、一番のあこがれはプロ野球選手。実は自分もそうだった」。虎党や高校野球ファンの熱さは、身をもって知っていた。

 17年、地元に育成クラブを併設したプロチームE・Eを立ち上げた。子どもたちにバスケットボールの楽しさを伝えようと、個人技が光る3人制を選んだ。だが、5人制に比べて知名度も低く、競技人口も少ない。普及を進めるために岸田さんが目をつけたのが、地元の甲子園球場だった。

 国内トップリーグの「3x3(スリー・エックス・スリー)ドット・エグゼプレミア」に参戦した19年、球場外周で公式戦を実施しようと企てた。阪神の試合開催日を狙って、球場側に提案した。しかし、プロ野球の観客の動線確保や警備上の課題が残り、実現しなかった。「ハードルが高いというか、近いようで遠い場所」と痛感した。

 代わりに近くの大型商業施設「ららぽーと甲子園」の駐車場で公式戦を実施した。すると、1日でおよそ2万人が見物に訪れた。甲子園という土地に、ひしひしと可能性を感じた。

 一帯はかつて、甲子園球場を中心にスポーツ全般が盛んな地域だった。

 1924年に「甲子園大運動…

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