布川事件訴訟、東京高裁が一審判決維持 国に賠償命令

村上友里
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 茨城県利根町布川(ふかわ)で1967年に起きた強盗殺人事件で無期懲役が確定して29年間収監され、再審の結果、無罪となった桜井昌司さん(74)が冤罪(えんざい)の責任追及のため国と茨城県を訴えた訴訟の控訴審判決が27日、東京高裁であった。村上正敏裁判長は県警の取り調べの違法性を認めた一審判決を維持したうえで、新たに検察の取り調べの違法性も認め、国と県に約7500万円(遅延損害金含む)の賠償を命じた。

 判決は、検察の取り調べは「相当に高圧的だった」と指摘し、「桜井さんに虚偽の事実を告げて自白させたのは、社会的相当性を逸脱して自白を強要する違法な行為だ」と認定した。

 裁判の主な争点は、刑事手続きの段階に分けて①警察や検察の取り調べは違法か②検察の起訴は違法か③公判での警察や検察の対応は違法か――だった。控訴審の争点は一審と同じで、①と③について違法性を認めた一審判決がどのように判断されるかが焦点だった。

 国と県は控訴審でも、違法な取り調べや公判での虚偽証言はなかったと主張。証拠の開示については、当時の刑事訴訟法上に開示を義務づける規定がないことから「法的義務を負っていたとはいえない」と訴えた。

 事件は67年8月に発生。大工の男性(当時62歳)が自宅で絞殺され約10万円が奪われ、近くに住む桜井さんが窃盗容疑、杉山卓男さん(15年死去)が暴力行為法違反容疑で別件逮捕され、殺害を「自白」したとして強盗殺人罪で起訴、78年に無期懲役が確定した。だが2005年に再審開始が決まり、11年に再審無罪が確定した。(村上友里)