中3の冬、口にしたティッシュ 逃れられぬ虐待の連鎖

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久永隆一
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 児童虐待は2020年度、児童相談所が対応したケースだけでも年間20万件を超えた。行政の手が届かず、虐待を受ける環境から逃れられないまま、心に傷を負いながら大人になっていく子どもたちがいる。

 また、おなかが鳴る。もう何日も食べてない。ティッシュなら、こたつの上にあった。冷蔵庫から取り出したマヨネーズをつけ、食べる。ティッシュ自体は味がしない。全部はのみ込めず、はき出した。

 大阪市の中村舞斗(まいと)さん(32)は当時14歳。中学3年生のクリスマスの頃だった。二人で暮らす母親が、家に帰ってこない日が続いていた。置いていったお金を使い切り、一人きりの自宅に食べ物はなくなっていた。

写真・図版
小学4年か5年のころ、近所の友達に囲まれピースサインをつくる中村舞斗さん(右から2人目)。すでに虐待を受けていた=本人提供

 「ネグレクト育児放棄)」と世間で呼ばれる母とのふたり暮らしは、祖母やおばの身体的虐待から逃れた後のことだった。

 祖母からの虐待は、中村さんが3歳のころからあった。未婚で出産した母親が実家に身を寄せ、同居していた。祖母は中村さんを叱るとき、「うちの罰や」と言って、仏壇のロウソクを足の裏にたらしてきた。同居する叔母たちもかつて同じ「罰」を経験していたが、中村さんの体を押さえつけ、逃げられないようにした。働いていた母親は不在だった。

 小学校や中学校の先生が気に…

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