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自宅療養支援センターが「ボトルネックに」 対応に不備

新型コロナウイルス

贄川俊、川野由起
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 新型コロナウイルスに感染して自宅療養中の人を健康観察する埼玉県の「宿泊・自宅療養者支援センター」で業務が滞っている事案が次々と明らかになった。背景には感染者急増による業務過多があるようだ。贄川俊、川野由起)

自宅療養していた男性死亡 対応不備認める

 25日夜、県は新型コロナに感染して自宅療養中だった70代男性の死亡を発表。外部委託している支援センターの対応に不備があったことを認めた。

 「(支援センターが)急激な変化に対応しづらかった側面があるのだろう」。会見した県保健医療部の小松原誠副部長は、感染者急増により業務が滞った可能性があると説明。県は今後、職員を増やすなどの対策をとり、新規の健康観察は保健所に任せることにした。

 県によると、男性は8月中旬に陽性が判明。軽症と判断され、自宅療養を続けていた。ところが23日に容体が急変し、家族が119番通報。同日、搬送先の病院で死亡が確認された。基礎疾患があったという。

 この間、男性の健康観察を担うのが、支援センターの役割だった。支援センターは1日4回、自動音声による電話で状況を確認する。丸1日応答がない場合、支援センターが翌日、本人に直接電話を入れる。それでも連絡がとれない場合は保健所に連絡をする流れになっている。

 しかし、男性の場合、17日からずっと自動音声による電話に応じていなかったにもかかわらず、支援センターは男性に直接電話せず、保健所にも電話していなかった。県の説明では、22日までは同居家族が生存を確認しており、容体は悪化してなかったという。男性からセンターへの電話があったかは「わからない」とする。病院で死亡が確認されていることから、男性については「自宅療養死」としてみていない。

自宅療養者の数、数千人規模で過大計上も

 支援センターは、感染急増時の保健所の負担を減らそうと、県が7月に設けた。東京都訪問看護会社に業務を委託し、看護師ら40~50人が対応した。

 県などが想定した当初の計画は、年明けの感染「第3波」のピーク期にあたる4600人規模の自宅療養者への対応。かつ、無症状や基礎疾患のない人の健康観察だけを担う予定でいた。ところが、自宅療養者は8月1日時点で想定を超える4824人に。基礎疾患のある人も担うようになり、県によると、このころから業務の一部が滞るようになったという。

 県が初めて支援センターの業務が滞っていることを朝日新聞の取材に認めたのは、それから2週間以上たった18日。基礎疾患のある人たちの健康観察を医師に依頼する業務だった。大野元裕知事は20日に「支援センターがボトルネックになっているということは事実。事務的な作業が若干滞ってしまっている」とした。

 24日夜には、最大2万人超まで積み上がっていた、県公表の自宅療養者が数千人規模で過大計上されていたことが判明。支援センターが自宅療養の終了を確認しきれていなかったためで、県は「(支援センターが)健康観察を優先し、解除(連絡)が後回しになっていた」と説明。ただ、この時も健康観察には問題がないとの認識を示していた。

 支援センターの相次ぐ不適切な対応について、大野元裕知事は26日、「過剰な負担で仕事ができなくなっている中でも、優先してほしいことが果たされなかったのは極めて遺憾。命に関わることができていなかったことは、県としての監督責任がある」と記者団に述べた。

 また、訪問看護会社は26日、朝日新聞の取材に「感染者が1日1千人を超えた7月末ごろから業務が滞り始めたので、症状が重いなどリスクの高い人の健康観察を優先するように切り替えた。こうした人に毎日直接の電話を続けており、県とも情報共有していた」と説明。当時の状況や事実関係を県と確認しているとした上で「業務が逼迫(ひっぱく)し、全ての方に十分対応できなかったことはおわびしたい」としている。

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