鹿児島知覧の特攻会館に20代学芸員「風化させず」模索

有料会員記事

奥村智司
[PR]

 沖縄戦で亡くなった陸軍の特攻隊員の遺品と資料を展示する知覧特攻平和会館鹿児島県南九州市知覧町)に、20代の学芸員が勤めている。戦争の記憶が遠のくなか、長期的な人材育成に向けて同館が昨年度に採用した。特攻の史実を今に正しく伝えようと、自らと年の近い隊員たちが残した資料に日々向き合っている。

 新人学芸員の羽場恵理子さん(26)は昨年4月に着任した。膨大な文献や資料のある太平洋戦争と特攻の歴史を改めて学びながら、展示のリニューアルや1万6千点に上る資料の整理に携わる。「まだ、スタートラインに立ったばかり」と話す。

 埼玉県の出身で、歴史や飛行機への興味から、大学院で日本海軍が飛行機を導入する過程を研究。近現代史を扱う博物館への就職を考えていたところ、同館の学芸員公募を知り、全国から応募した19人の中から採用された。

 戦争を知る世代が少なくなり、「伝える側」としての態勢や展示のあり方の見直しが、各地の博物館や資料館の課題になっている。

 1987年に開館した同館は、特攻隊員の遺族らから寄贈された遺品や資料を収蔵する。羽場さんを加えて学芸員を3人に増やした背景を、朝隈克博館長(59)は「館を支えてくれた隊員の遺族や関係者の多くが鬼籍に入られている。託された遺品の知識を持ち、しっかり守っていく態勢を強化することが大事と考えた」と説明する。

 学芸員をまとめる八巻聡さん(45)は2003年の着任。生き残りの隊員ら200人を超える全国の特攻関係者に聞き取りをするなど多くの蓄積があり、朝隈館長は「他館から頼られる存在」と信頼を寄せる。「八巻氏の定年までに知識やノウハウを継承させ、同等のレベルの学芸員を育成するには10年以上かかる」と、この時期の増員を決めた。

 「美化せず、風化させず」を…

この記事は有料会員記事です。残り336文字有料会員になると続きをお読みいただけます。