「次が最後」そして2人は出会った 運命を変えた3日間

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岩佐友
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 重い扉が開いた瞬間だった。

 2020年11月19日の朝、岡山市の岡山国際スケートリンクでフィギュアスケート・アイスダンスの小松原美里(29)はウォーミングアップをしていた。パートナーを組む夫のティム・コレト(30)がやってきた。

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 表情がいつもと違う。両目を見開いて、何かを訴えていた。

 「え、まさか?」

 美里の問いに、ティムはニヤリと笑ってうなずいた。美里の目から涙があふれ出た。2人は強く抱き合った。

 その日の官報にティムが日本国籍を取得したことが告示された。オリンピック(五輪)への道が、ついに開けた。

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 美里がスケートを始めたのは9歳の時。同じ岡山県出身の高橋大輔(35)に憧れて、リンクに向かった。

 早くから抱いた目標は五輪出場で、16歳でアイスダンスに転向した。最初に組んだ日本人男性とのカップルは2年で解消し、次のパートナーとも長くは続かず。14年からはイタリア人男性と組み、イタリア代表として国際大会に出場。しかし、16年春にその関係に終止符を打った。

 「アイスダンスにおいてパートナーを見つけるのが一番大変」と美里は言う。体格や実力面の相性はもちろん、目標をどこに置くのか、いくらお金をかけられるのか、いつまで競技を続けるのか。時間を経るごとに、価値観の違いが浮き彫りになってきてしまう。

 「私はこの人と組むと決めたら競技生活が終わるまでやりたいと考える。だから、それができなくなった時の心の折れ方って半端ない。3人目と離れた時はショックで、引退も考えた」

 次が最後。その覚悟を持った。

 米国出身のティムも2人とのカップルを解消し、苦労していた。「いい人が見つからなかったら、もうやめよう」。そう考えていた。

 同じような思いを抱いていた…

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