これはだまし絵か 絵画の「窓」に魔法をかける川村悦子

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田中ゑれ奈
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 ルネサンス期の学者は絵画を窓になぞらえた。ならば、「窓ガラス」にひと工夫することで、世界の見え方は違ってくる。西洋と日本、古典と現代をつなぐ川村悦子の作品は、そんな遊び心に満ちている。

 学生時代から油絵の具を使う川村は、日本人として西洋美術へ抱く渇望と、「借りもののような」違和感に向き合ってきた。転機の一つが1987年、日本画家・石本正の企画で参加したイタリア研修旅行。そこで見た古いフレスコ画群は、後の「風化シリーズ」やイタリア古典絵画への傾倒につながっていく。

 イタリアの城塞(じょうさい)都市を背景に現代の装いのマネキンを描いた「時の旅人」は、そんな画家の決意表明にも思える。薄い絵の具を何層にも重ね、ところどころ表面をはぎ取ることで、劣化したフレスコ画のような風合いを作る。「完成した画面に手を加え、見えるものと見えないもののコントラストをつける」ことで、鑑賞者に訴えかけたいのだと川村は話す。

 画面の表層をはぎ取る発想は…

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