総務相の実証要請に民放側は テレビない人にNHK配信

江口悟、宮田裕介
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 武田良太総務相は27日、NHKの前田晃伸会長に対し、テレビを持っていない人を対象に、インターネットの配信を試験的に行う「社会実証」の実施を検討するよう文書で要請した。民放側からは反発する声が出ている。

 武田総務相は同日の閣議後会見で「公共放送におけるインターネット配信の意義やニーズを検証し、果たすべき役割や使命について議論をしていきたい」と狙いを説明。具体的な内容や時期などは「NHKにおいて検討されるものと考えている」と述べた。

 総務省の担当者によると、ユーチューブなどの動画配信サービスが人気を集め、若者のテレビ離れが指摘される中、国会でもNHKに工夫を求める声があがったことなどを踏まえたもの。すでに昨年春から番組を放送と同時にネットに流す同時配信や1週間見られる見逃し配信の「NHKプラス」を始めているが、今回は放送した番組と同じものを流すだけではなく、ネット利用者向けの工夫を施したコンテンツの配信を期待しているという。

 NHKは「前向きに検討してまいりたい」とコメントした。一方、日本民間放送連盟日本新聞協会は、NHKのネット業務について抑制的な運用を求めてきた経緯がある。民放関係者は「民放は本当に収入になるか不安な状態で、同時配信の本格的な実施に至っていない」としたうえで、「NHKは収入の心配をすることなくできるうえ、その先の実証までやられたらたまったものではない」と話す。

 また、受信料収入で制作した番組を受信料を払っていない人に配信する形になるため、公平性をめぐる反発も起きそうだ。ある民放関係者は「受信料制度の根本を揺るがすことになる重要な局面だ」と話す。

 武田総務相は会見で、こうした受信料制度との関係について、「将来的にテレビを持っていない人からも、受信料を取ることも想定した実験になるのか」との質問に対し、「将来的な方針は現時点で考えていない」と答えた。(江口悟、宮田裕介